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2008年07月18日(金) 12時11分

マスコミによって切り捨てられた日本の漁業ツカサネット新聞

日本で「もはや戦後ではない」という言葉が使われたのは昭和30年代だが、僕には、もう少しすると、日本で「もはや先進国ではない」と言われるような気がして仕方がない。それほど、日本の崩壊は深刻だと思うのだ。

このままでは、燃料費高騰によって廃業するしかないと、漁業関係者が一斉休漁を行ったのが15日。その非常事態を受けて、16日、17日には、新聞各紙が、この問題を社説で取り上げた。

「全国一斉休漁漁師らの窮状を救うには」(16日、読売)
「一斉休漁漁業の構造改革につなげたい」(16日、毎日)
「漁業の構造改革こそ必要」(16日、日経)
「一斉休漁食卓に押し寄せる危機」(16日、東京)
「一斉休漁構造問題解決へのバネに」(17日、産経)
「危機の漁業—原油高に耐える体質を」(17日、朝日)

などの社説が掲載されたが、その中に、漁業関係者の訴えに同調した新聞は1社もない。「原油高に苦しんでいるのは漁師だけではない」、「『漁業向けの燃料費補助』は行わない」というのが、各紙の共通の認識のようだ。替わりに各紙が主張するのは、「構造改革」や「コスト削減」という言葉である。

「流通の効率化」(読売)、「水産業全体の生産性を高める」(毎日)、「自ら消費者に直接販売するなど自助努力」(日経)など、各紙の指摘は妥当なものだろう。だが、そうした「構造改革」や「コスト削減」が、今すぐ行われるとは思えない。漁業関係者の中には「今年限りで廃業するしかない」とインタビューに答えている人がいたが、そうした人々については、「潰れろ」と言っているのに等しいのが、各紙の主張ではないのか。

その背景には、
「漁業用の船舶に燃料として使われているA重油や軽油は、もともと免税扱いだ」(毎日)

といった側面もあるかもしれない。だが、東京新聞では、
「農協という強大な後ろ盾を持つ農家に比べ、漁業者に対する政策的支援は薄い。農林漁業金融公庫による一昨年度の融資実績は、農業の千百十億円に対し、漁業分野は六十五億円しかない」

といった指摘もしている。「構造改革」「コスト削減」などと他人事のように言っている間に、このまま日本の漁業が崩壊してもいいのだろうか。

マスコミによって、見事に切り捨てられた日本の漁業。
それでは今後一体誰が、漁業の「構造改革」「コスト削減」に取り組むのだろう。


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(記者:iko)

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