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2008年07月18日(金) 12時08分

原油高は、漁業だけの問題ではない。ツカサネット新聞

原油高に対する国の助成などを求め、一斉休漁という形で、漁業関係者が行動を起こした。
行動を起こすほど追い込まれた状況にある漁業関係者のご苦労はよくわかるが、国の助成を求めるという、その方向性には疑問を呈するしかなく、なんとも微妙な心境だ。

まず第一に、原油高によって苦しい思いをしているのは漁業関係者だけではないということ。どのような業種であっても、会社経営において原油はさまざまな形で影響しており、大小かかわらず、影響があるのは間違いない。また、国民生活においても、ガソリン高という形で影響が出ているのだから、漁業関係者だけを保護する、助成するというのは理屈が通らない。

二つ目には、漁業という業種の根源的な問題を解決しなければ、いずれにしても、漁業には将来性がないと思えることにある。他の業種、例えば、さまざまな商品を販売している企業では、コスト増を価格に転嫁して、苦しくとも自力で生き残るために、努力している。当然、経費削減などもしっかりとやっているはずだ。

しかし、漁業の場合、自らの思惑で値段が決められないことが、最も問題なのではないだろうか?

将来に向けて、ずっと原油高が続くわけではないと思うが、今後もさまざまな形でコスト増につながるような問題は起こるだろう。そのたびに国に助けを求めるのでは、無理があるように思う。恐らく、今までもそうやってきたから、今回も‥‥という思いがあるのだろうが、いつまでも国を頼っていてはいけないと感じる。

方法論はわからないけれど、自力で値付けできる商売の形が必要なのではないだろうか。

三つ目は、簡単に言うけれど、国の助成とは税金の投入にほかならず、魚の値段は上がらなくても、こういう問題が続出すると、さらに税金の徴収が必要になってしまうという点だ。国民の皆さん、本当にそれでいいの?ということを指摘しておきたい。


苦しいから助成ということを繰り返していては、いつまでたっても必要な変革が進まない。今回の緊急的な助成はやむを得ないと思うけれど、助成する以上は、自助努力もきちんとやって、原油高にも対応できる業界体質への変革してほしい。

選挙と利権という甘えの構造が続く限り、弱い体質が改まらず、いつまでたっても助成金頼みが続くのではないだろうか。


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(記者:keigo)

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