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2008年07月18日(金) 11時15分

女を殴るヤツはTV界追放【NZ】ツカサネット新聞

スポーツキャスターのTony Veitch。甘いマスクと、マシンガンのような早口トークで女性ファンも多い彼のスキャンダルで今NZのメディアは持ちきりだ。

前々から噂はあったものの、大手新聞の記事を受け、これ以上逃げられなくなったのか、本人が先日記者会見を開き、噂を全面的に認め、謝罪した。これに先駆けて彼はTVとラジオのレギュラー番組を一時降板している。

2006年、当時のGFを自宅に夕飯に招いた際、大ゲンカになり、殴る蹴るの暴行。女性は一時車椅子生活を余儀なくされたという。

一節には背骨を4か所骨折したとか、今だに後遺症に悩まされているとも言われている。カップルはこの事件に前後して別れ、直後にそれぞれ別の相手と結婚。お互いの結婚相手もまた、セレブ度の高い、ミリオネアや船舶会社の令嬢で、事件をカーペットの下に完璧に隠すべく、この件に関しての沈黙を守ることで同意、示談金として、170、000ドルともいわれる金銭の支払いもあったという。

被害者の女性はIT企業の重役で、加害者は今をときめくTVスター。加害者の自宅は市内でも超高級住宅地になる場所にあり、そこが事件の現場になった。

DVはNZ最大の社会問題の一つだ。
くしくもこのキャスターが毎日スポーツニュースを担当していた局では、It's Not OKというおおがかりな反DVキャンペーンが、政府機関によって行われている。

いかなる理由があろうとも、家族やGFに手をあげることは、OKにはならないというスローガンで、被害者のみならず、加害者にも、助けを求めるよう促している最中だ。DV問題を取り上げるとき、必ず引き合いに出される、社会問題としてまず貧富の差があり、経済的な行き詰まりで、暴力に走る、非白人の典型的な加害者像というのがあるが、このスキャンダルが公になったことで、そのステレオタイプが、当てはまらないのが、実はDVであるということを示した結果になった。

有名人スキャンダルがこれだけ新聞の一面を賑わすのは、DVというNZ人にとって身近な話題が、お茶の間の人気者の私生活から出てきたことが大きいだろう。

女性は彼を「女を殴るヤツ」と呼び、男性陣からは、「仕事が忙しくて疲れていたんだろう」という同情の声が上がっている。
ベテランニュースキャスターのPaul Holmesが、自宅にVeitchを招いた独占インタビューを大手新聞の日曜版に掲載、その内容も物議をかもしている。Holmesは全面的にVeitchの肩を持った同情インタビューをまとめたからだ。

Veitchの生い立ちからカウンセリングで希望の火を見つけ、今は反DVキャンペーンに自ら広告塔となってもキャリアをつなぎ止めたいと願うこのお涙頂戴インタビューは、読んでいて気分が重くなる内容だ。両親に愛してもらえなかった怒りが僕をこうさせた。典型的な加害者のコメントである。

彼が小学生の頃に両親が離婚、彼の父親はベテランTVプロデューサーである。彼自身はオーストラリアとNZを行ったり来たりの子供時代を送ったそうだ。しかし、そんな人は巷にはごまんといて、それがGFの背骨を4つにたたき折るという蛮行の言い訳には到底ならないのだが。

Veitchの雇用先が政府所有のTVNZというTV局で、ここから示談金が支払われたのか、雇用主として、この件を知っていて、仕事を続行させていたのか、医者に階段から落ちたとウソの証言をさせてACCと呼ばれる労災を税金でカバーさせたのか、などなど、政治ゲームも始まって、このスキャンダルはまだまだくすぶり続ける。しばらくは新聞も、女性週刊誌風の見出しが続くようだ。

(記者:大空)

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