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2008年07月18日(金) 02時31分

<PCI>ベトナム援助立件へ…贈賄容疑で東京地検毎日新聞

 ベトナムでの政府開発援助(ODA)事業を巡る大手コンサルタント「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)の贈賄疑惑で、PCI元幹部らが03年と06年、事業受注の見返りとして、ホーチミン市の担当幹部に計約80万ドル(約9000万円)を渡した疑いが強いことが分かった。東京地検特捜部は担当検事を週明けにも増員したうえで、当時の幹部ら数人を、外国公務員への贈賄行為を禁じた不正競争防止法違反の疑いで立件する方針を固めた模様だ。

 特捜部は外交ルートを通じてベトナム司法当局に協力を依頼。検事を現地に派遣して捜査を進めてきた。検事立ち会いのもと、ベトナム当局が収賄側とされるホーチミン市幹部から事情を聴いたとみられる。

 外国公務員への贈賄禁止規定は98年、経済協力開発機構(OECD)加盟国が「外国公務員贈賄防止条約」に調印したのを機に、同法に盛り込まれた。収賄側は罪に問われない。

 関係者によると、PCIの当時の幹部は、円借款によるホーチミン市内の高速道路やトンネル建設工事などを受注する見返りとして、03年冬に約60万ドル、06年夏に約20万ドルを、日本の市役所に当たる事業実施機関の「ホーチミン市人民委員会」幹部に直接手渡したという。

 現金を手渡した1人はPCI元常務で、東南アジアでのODA受注を目指してリベート工作をするためにPCIが設立した香港法人の代表だった。特捜部の調べに「本社の指示で、高官に現金を手渡した。すでに辞めた自分が渡したのは、PCIとは無関係と装うためだった」などと供述しているという。

 PCIはこの事業を01年度に約11億円で、03年度には共同企業体として約20億円で、それぞれ受注した。

 外国公務員への贈賄禁止規定に基づく立件は、福岡区検が昨年、フィリピンの国家プロジェクト受注の見返りとして現地高官に贈賄した九電工(福岡市)社員を略式起訴したケースに次いで2件目で、ODA事業では初めてとなる。

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