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2008年07月18日(金) 21時36分

<法曹人口>「増員のペースダウンを」日弁連が緊急提言毎日新聞

 司法試験合格者数を2010年に年間3000人に増やす政府方針について、日本弁護士連合会は18日の理事会で「数値目標にとらわれず、増員のペースダウンを求める」とする緊急提言を採択した。増員による質の低下が懸念されるとの理由。他の法曹関係者からは「法曹人口増員を認めてきた日弁連が方針を事実上転換するもので、司法制度改革趣旨に逆行する」と疑問視する声も出ている。

 提言は、現在の法曹養成制度について「法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度が成熟途上で、習得度が懸念される」と指摘。「数値目標のみを追求することは、法的基本知識が不十分だったり、法実務能力に不安がある新規法曹を出現させることになりかねない」とした。宮崎誠会長は会見で「司法改革を推進する立場は堅持しつつ、ひずみをもたらしている事実を直視した」と述べた。

 これに対し、法務省関係者は「法務省や最高裁が改革の趣旨をふまえて法曹養成に取り組んでいる段階であり、日弁連は責任を果たし切れていない」と批判。ある法科大学院教授は「新司法試験を2回しか実施していない段階で方針を後退させるのは、法曹を希望する学生に動揺を与える」と話している。

 法曹人口を巡っては、日弁連が00年11月の臨時総会で増員を認める決議を採択。政府は司法制度改革の中で02年3月、増員を閣議決定した。現在の法曹人口は約2万9000人で、18年に5万人に達すると見込む。司法試験合格者数は年間500人前後だった90年ごろから増加し、02年に1000人を突破。昨年は約2100人が合格している。【石川淳一】

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