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2008年07月17日(木) 14時27分

五輪サッカー メンバー選考についてツカサネット新聞

北京オリンピックのメンバー18人が決定した。トゥーロン以降を考えれば、それほど意外には思わなかったが、少なからず疑問もあった。

まずは青山直晃について。
予選を通じて水本はほぼパーフェクトだった。かたや青山はときおり不安定さを見せていた。とくにビルドアップでのミスは一度や二度ではない。ハイボールは強いが足元は心もとないという選手だ。水本のパートナーは誰がふさわしいかというのは監督の頭にあっただろう。成長著しい吉田麻也にしても森重真人にしても、もとはボランチ。連携面での不安はあるものの、私自身青山に不満があったので、この選択は妥当と思われる。どうせ控えなら複数のポジションをこなせる選手を選ぶのは当然。

水野は、予選の最後のほうはぜんぜんダメだったので、やはり驚きはない。
それに、反町さんはかなりフィジカル面を重視しているようだ。身体の強い岡崎や谷口を選んでいるように。(オランダ、ナイジェリアが相手だけに納得できる部分は多少はある)
プレーで精彩を欠き、試合勘も衰え、なおかつ線も細いとなると、なかなか難しいだろう。フリーキックだけが取り得では厳しい。


いちばん解せないのが、梅崎司を選ばなかったことだ。
個人的には彼を高く評価しているので、多分に贔屓目であるけれど。

彼の長所は、ゴールへの意識の高さだ。外国人選手並みである。たとえば、クリスティアーノ・ロナウドは昨季なぜあれほど多くのゴールを取れたか。その一因として、シュートを数多く打っていることが挙げられる。

先のユーロにおいても1試合当たりのシュート数はたしかいちばんではなかっただろうか。それで、結果は1得点である。はなはだ効率が悪い。しかし、打たなければゴールは決まらない。

さらに、ゴールなんてものは決まらないときはどんなに打っても決まらない。マイアミの奇跡で実証されているように。要は、確率の問題だ。シュート0で得点するには、オウンゴールしかない。数打ちゃ当たる……かもしれない。キーパーがはじいたこぼれ球で、なんてこともありえる。

彼はJの試合でもFWよりシュート数が多いことがままある。
シュート精度は低い。しかしながら、彼の姿勢からは可能性が感じられる。予選においても、えっ、あの位置から打つか?というシュートを放ち、ポストに当てている。U-20W杯での、周りと連動した流れるようなドリブルシュートでのゴールも彼ならではだろう。

FWが点を取れないなら、MFが取ればいいだけの話。
カメルーン戦でも森本に完璧なパスを出している。レッズでもチーム状態、FW陣が不調の中、それでもいくつかアシストをしている。
ドリブルができて、精度の高いクロスを上げられて、ミドルシュートをどんどん打てて、FKも蹴れる選手を外してしまうのは、じつにもったいない。
森重を入れたのであれば、本田拓也か細貝萌のどちらかを外して、入れてもよかったのではないだろうか。


さらにこのメンバー選考の決定的な欠陥は、梶山陽平がコケたらみなコケてしまうこと。
二十歳以下のころからこの年代では、梶山は代えのきかない絶対的な選手だった。彼は唯一のゲームメーカー。

数年前のアジア大会で惨敗したときは、梶山がいなかったためまったく中盤が作れず、有機的な攻撃ができなかった。その梶山にしてもかなり波がある。すごいときは日本人離れのプレーを魅せてくれるが、ダメなときはとことんダメだ。

それゆえ遠藤保仁を核にしたいという反町さんの気持ちは当然のこと。世界のサッカーの流れからしても、中盤の底に優秀なパサーがいるチームは強い。

ただ、遠藤を起用できなくなって、代わりのOA——私は遠藤以上に中村憲剛がふさわしい(おそらくオランダ、ナイジェリアにはかなりポゼッションされる。本気で勝ちに行くならカウンターにならざるをえないため)と思ったいたが——を使わないとなれば、梶山が王様として君臨するのはやはり当然。

しかし、バックアップは必要だ。
柏木陽介と上田康太は、梶山に比べれば能力、スケールは劣るが、保険はあっていい。(柏木は最近ではクラブ、五輪代表でトップ下だが、梅崎、田中の下に位置したU-20のときのプレーがよかったのでボランチで)
柏木は世間的に評判が良いが、たしかに運動量は梶山以上、しかし、パス精度はいかんともしがたく、キープ力も梶山ほどでなく(つまり運動量以外ではすべての面で劣る)、怪我明けの状況も考えればスタメンは難しいだろう。

それでも、(サブという)保険は必要。梶山がダメだったときの流れを変えうる選手が。
谷口はパサーではないし、代わりができそうなのは本田圭佑しかいない。彼の最適のポジションはトップ下だと思っているので、中央を任せるのはよいと思うが、いざというときのボランチ起用を監督が考えているのなら柏木らを外した意味はある。

あとは、パワープレー用に平山相太を入れてもよかった。動けないが、あのデカさと強さは強力な武器。ただ、豊田も悪いプレーをしていたわけではない。平山が違いを見せられなかったのも事実。岡崎に関しても、これまでの試合を見ていた人なら、彼が良いプレーをしていたことをわかっているはずだ。少なくとも興梠よりはチームに貢献していた。


予選を戦ってきたメンバーに愛着を持っていた人には今回の選考を意外に思うかもしれない。
しかし、その予選の試合内容がすばらしかった、といえる人がどれだけいるだろうか。直近のカメルーン戦を見れば、チームがワンランクレベルアップしていることに気づいたはずだ。

私は、正直驚いた。かなりメンバーやシステムが変わっているのに、思いのほかスムーズだったことに。予選でのレベルの低さが嘘のようだった。強力なライバルがいるグループリーグ突破はほとんど不可能(シドニーのメンバーであったとしても)だろうが、それなりによいサッカーができそうだと思った。

それだけに決定的な仕事ができる梅崎の落選が解せない。
その代役であろう香川が力を発揮できれば、監督の決断が正しかったといえるのだろうが。




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(記者:ジンノジン)

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