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2008年07月17日(木) 19時41分

<すかいらーく>契約店長の過労死認定…長時間労働が原因毎日新聞

 埼玉県の春日部労働基準監督署は、外食大手「すかいらーく」(本社・東京都武蔵野市、横川竟社長)の有期契約店長、前沢隆之さん(当時32歳)が脳出血で死亡したのは長時間労働が原因の過労死と認定した。非正社員の過労死認定について厚生労働省は「聞いたことがない」としている。同社では、04年8月にも正社員の現役店長が過労死しており、企業の姿勢が問われそうだ。

 前沢さんは91年にアルバイトで「すかいらーく」に入り、06年3月から1年契約の契約店長になった。昨年10月、仕事中に腹痛で倒れ、入院中に脳出血で死亡した。タイムレコーダーなどの記録では、月40時間程度の残業だったが、家族の認識では毎日午前0時を回る帰宅だったことから、労災申請した。

 春日部労基署が遺族に行った説明によると、前沢さんには月100時間以上、平均80時間の過労死ラインを越える残業が確認された。非正社員なのに店長という重責を負わされたことも考慮したという。母の笑美子さんは「不安定な身分で酷使され、死んでしまい悔しい。悲劇を繰り返さないよう、遺族が声を上げることが使命だと思う」と話した。

 すかいらーくによると、契約店長は全国2484店中58人。過労死認定に同社は「内容を把握しておらずコメントできない」としている。【東海林智】

 ◇乱暴な雇用許されぬ

 過労死などに詳しい日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士の話 アルバイトから昇格させても有期契約のままにして長時間の残業をさせられているとの相談は増えているが、ついに過労死まで招いたことはショックだ。低賃金で不安定のまま死ぬまで酷使するなどという乱暴な雇用は許されない。経営者の良心にはもはや期待できず、「過労死防止法」をつくり規制するしかない。

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