記事登録
2008年07月17日(木) 00時02分

愛知の東名高速でバス乗っ取り 宇部の14歳少年逮捕中国新聞

 十六日午後零時五十分ごろ、愛知県豊田市の東名高速道路上り線豊田インターチェンジ付近を走行中の名古屋発東京行きJR東海バスの高速バスから「刃物を持った少年が運転席の後ろにいる」と、同社を通じて一一〇番があった。

 少年は運転手(39)の首に果物ナイフ(刃渡り約十センチ)を突き付けバスを乗っ取り、午後一時十分には自ら携帯電話で「おれはバスジャックした」と一一〇番した。

 県警のパトカーがバスを見つけ、愛知県岡崎市の美合みあいパーキングエリアに車両を誘導。乗客を降ろし、午後二時ごろ、銃刀法違反と監禁の現行犯で少年を逮捕した。乗客、運転手計十一人にけがはなかった。

 調べでは、少年は宇部市の中学二年(14)。「親に怒られ、嫌がらせでやった。世間を騒がせたかった」「ただ走りたかった。刃物は百円ショップで買った」と供述。山口県宇部市教育委員会などによると、少年は同じ中学校の女子生徒との交際をめぐりトラブルとなり、担任や親から注意されていた。十四日夜に、母親と口論となったという。少年は始発の名古屋から乗車していた。

 JR東海バスによると、バスは三十八人乗りの二階建て。同社の男性社員(42)が一階席の最前列左側に偶然乗っており、少年が二階から下りて運転席に近づき、右手に果物ナイフを持っているのに気付いた。社員が携帯電話で同社に連絡、一一〇番するよう小声で依頼したという。

 男性社員によると、その後、運転手から乗客に「携帯電話の電源を切って、一階に集まってください」と連絡があり、少年が乗客から携帯電話を取り上げた。

 県警によると、少年は警察官の説得に興奮したり、抵抗したりした様子はなかった。果物ナイフのほか、ペティナイフ(刃渡り約十二センチ)も所持し、黒い長袖シャツにサングラス姿だった。

 少年は会社員の父親、母親と妹の四人家族。十五日未明に宇部市の自宅を家出し、同日昼ごろ、家族が捜索願を出していた。バスは十六日正午に名古屋を出発し、午後六時ごろ到着予定だった。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200807170110.html