記事登録
2008年07月17日(木) 10時55分

「漁に出れん!」窮状を訴える漁師たちオーマイニュース

 投機も相まって原油の高騰がとまらない。燃油高騰の対策として、イカの漁船は集魚灯の照明や漁場へ向かうスピードを落として対応しているというニュースやマグロ漁船の採算が悪化し、休漁しなければならないところまで来たというニュースが聞かれるようになった。

ほかの写真を見る

 新聞報道によると、遠洋マグロ漁船は、今回の一斉休漁の後、今後2年の間に2カ月以上の休漁を予定。その及ぼす影響は計り知れないと危惧(きぐ)されている。

 そんな環境にあって、燃油高騰で出漁すれば赤字が蓄積し、漁民の努力では限界を超えたとして、今一番の漁業期にありながらついに15日、20万隻の漁船が一斉休漁のストライキに出た。

 この日、東京・日比谷公園野外音楽堂では約3000人の漁民が集まって、漁業経営危機突破 全国漁民大会が開催され、漁業者の経営環境の悪化を訴え、国に対策を要求した。

 大会会長は挨拶で、「今日40万人の漁業者が漁民大会を見守っており、漁民の訴えを何としても国に届けなければならない」と言う。

 漁船の燃油価格は5年前の3倍にまで高騰し、わが国の漁業は存亡の危機にある。これが無秩序な投機によってもたらされたことに怒りを抑えきれない。さらに一番恐ろしいのは、どこまで上がるか分からない燃油価格に、若者が漁業を断念していることだという。

 そして全国一斉休漁に入った漁業者の悲痛な声を受け止め、「政治の力で漁業を存続させる緊急対策」を訴えた。

 鹿児島県のマグロ漁業者は、

 「食の偽装問題が叫ばれる中で、安全なマグロを供給してきたが、燃油のコストは操業コストの40%を超え、水産物自給率が60%に満たない漁業が消えようとしており、伝統も消えるし、こんな国に未来はない。直ちに効果のある緊急措置を国はやってほしい」

と訴えた。

 石川県の副組合長は、

 「2日間、漁を休んでここに来た。漁場は悪い状態で安くてうまい魚を求めて世界の海を渡ってきた。私たちは辛抱心が強い。この心がなくなれば日本はなくなるが、今度の燃油高騰は激震災害だ。助けてください」

と国の速やかな対応を訴えた。

 最後に意見を言ったのが漁村を支えてきた青森県の女性だ。

 「女性が一生懸命家計を守ろうとしてきたが、経営環境は変わってきた。燃油の環境は今まで経験したことのない大災害だ。人の手で起きた燃油問題は人の手で復旧を。油は生命なのでこのままでは出漁できない。漁に出て何ぼの世界で、油は高い、魚は安いでは、われわれに死ねというのか」

と現在の窮状を訴え、「日本の漁を守れ」と訴えた。

 これを受けて自民党の谷垣幹事長は、

 「今まで例を見ない燃油価格高騰、猛暑の中で結集し、私たちももう1回、食について取り組まなければならない。日本国の存亡につながることである。緊急のプロジェクト・チームをつくり、6月25日に対策を出したが、もっと実効性、即効性のある対策を出す必要がある。補正予算は即効性がなく、ことしの予算の中で修正するしかない。全力を尽くす」

と約束していた。

 谷垣さんは増税派。予算にはもうムダはないと考えている人であるが、これを機会に特別会計など思い切った予算カットをすべきではなかろうか。

 農水大臣は、直接的な燃油補填(ほてん)は難しいとコメントとしていた。漁船に補填すれば、運輸業者だって黙っていないだろうし、車を仕事に使っている人も黙っていないだろう。

 福田さんのかじ取りが見ものだ。

(記者:矢本 真人)

【関連記事】
矢本 真人さんの他の記事を読む
【関連キーワード】
燃油
ガソリン

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000000-omn-soci