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2008年07月17日(木) 17時43分

山陰我が家の旨い物紀行「温泉津 ぼべ飯」【島根】ツカサネット新聞

島根県西部地方、昨年世界遺産に指定された石見銀山のある大田市から江津・浜田市にかけて、漁師町に古くから伝わる漁師飯があります。「ぼべ飯」という炊き込みご飯です。

この地方の子供達にとって海とはとても身近にあり、夏休みになると朝から夕方まで、海で過ごす子供も少なくないのです。都会の海水浴と違い、ただ泳いだり水遊びをするだけではなく、生活感溢れるものです。岩場に行くと、そこはチョットした漁場になっています。

小魚や貝が獲れ、子供達は我先にと獲物に群がります。その中でも特に人気があるのが「ほべ貝」です。そんな子供達も、もちろん一日中漁をしている訳ではなく、泳いだり遊んだりもしながら、自分達の社会ルールを学んで行きます。

日が西に沈み始める頃、子供達は沢山の収穫を手に、それぞれの家路につきます。

子供達が獲ってきた「ぼべ貝」の一部はお父さんの晩酌の肴になり、「ぼべ飯」が炊き上がるまでの、父子のコミュニケーションの当てになります。また、油・味醂で美味しく炊き上がった「ぼべ飯」は、近所付き合いの当てにもなります。

「今日、子供が沢山獲ってきたので、裾分け」と言った具合に隣近所とのコミュニケーションにもよく使われていました。そして、子供達の舌にふるさとの味として記憶されて行きました。

夏休み石見銀山を訪れる予定の方、磯の香一杯の「ぼべ飯」を食べてみたいと思ったら、是非一度宿に頼んでみたらいかがでしょうか。地元の「ぼべ飯」をと言われ、悪い気はしないでしょう。多分、美味しい「ぼべ飯」をご馳走してくれると思いますよ。

ちなみに「ぼべ貝」とは「カサガイ」という巻貝の事です。


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(記者:ねぎ)

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