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2008年07月17日(木) 16時11分

竹島が突きつける現実ツカサネット新聞

新学習指導要領の中学社会科の解説書に島根県の竹島を「我が国固有の領土」と明記するか注目されていたが、領有権を直接的に示す表現は見送った。

ここに至るまで一部議員より、「外交的配慮が必要なのではないか」という意見もあったというが、何故自国の領土を中学生に教えるのに、中学生以上によその国に配慮する必要があるのか疑問だ。

韓国政府は5月に駐韓大使を呼んで抗議し、7月の日韓外相会談では「深刻な憂慮」を表明した。そして韓国国会では「主権侵害だ」と中止を求める決議までしている。

外交的配慮が必要なのは日本ではなく韓国なのではないか?竹島における主権侵害は、1951年8月のラスク書簡による「竹島は日本の領土」という、米国政府の意向が韓国政府に示されたことをうけて、1952年1月韓国政府が李承晩ラインを一方的に宣言したことから始っているのではないか。


日本政府は、日韓関係が悪化すれば北朝鮮の核問題に関する6カ国協議に悪影響が出かねないとの慎重論から、「固有の領土」との表現は見送ったということだ。

領土は国の続く限り、永遠の国民共有の財産であると思っていた。そして国は国民や領土を守ることを義務とし、その義務を果たすことによって税金を徴収する権利を持ち、国民は自分たちの財産や領土・生命の安全を国にゆだね、義務として(ある意味権利とも言えるだろう)税金を払っていると思っていたが筋違いらしい。

確かに目前の6カ国協議は確実に進行する必要がある。ならば、私たちは北朝鮮の核放棄の見返りに韓国に対して竹島の固有領土としての主張を取り下げると言うのか?
デリケートな竹島の問題に対して、理由付けをしているに過ぎないように見える。

他にも理由にすることは多々ある。
 ・安保理事国を目指す上で隣国との領土問題の悪化は避けるべきだ。
 ・狂牛病問題でゆれる韓国政府への負担増加につながり時期早尚。
 ・日中中間線に近接するガス田開発の二の舞になりかねない。

何かに理由つけてトラブルを避けようとしているとしか思えない。日本独特の、国際社会がいつも忌み嫌う、玉虫色判断なのではないか。


韓国外交通商省報道官はこの件に関し、「固有の領土独島」という枕詞で「日本政府に抗議し、是正処置を要求する」と会見で発言している。
是正するべきは韓国ではないのか? いったい日本政府の配慮とは何に対してなのか? かしげた首が元に戻らない。このままじゃ全て斜めに見え疑ってかかってしまう。

もし外交ルートを通じて方針を伝えていて、この両国の対応が打ち合わせ通りだとしたら、あいまいな表現はどのような利益によってペイできるというのだろう。

これが配慮した結果というのなら、「固有の領土」という表現を控える必要があるのか、かの国に配慮するならば、そして何の反発もなく済ませようとするならば、竹島を放棄するしか納得しないだろう。中途半端な顔色伺いをするとこうなるということを、もうそろそろ政府も官僚も覚えてほしいものだ。

日本は固有の領土という表現を避けているが、一方韓国は自国の教科書で小学から高校に至るまで「竹島(独島)を固有の領土」と明記し、徹底的に教え、歌を作り切手をつくり、啓蒙活動に余念が無い。配慮が必要なのは韓国側であって日本側ではないではないか。


福田総理は「お友達の嫌がることをあなたはしますか。しないでしょう。国と国の関係も同じ。相手の嫌がることを、あえてする必要はない」と就任当初発言していたが、その相手は日本のことを友達だと思っているかは考えたことがあるのだろうか?

そして私など及びもしない人生経験の中で、友人だからこそ言える苦言を友人と交わしたことが無いのだろうか? そしてそれらを通じて友人は親友となるということを。

隣国でお友達である韓国は、日本の竹島の表現に際しソウル市内で、竹島表記に反対する団体らが日の丸を燃やしたり、指の血で韓国国旗にメッセージを書くなどの抗議活動を行っている。これが友達のすることだろうか?

韓国政府は、駐日韓国大使を直ちに一時帰国させることも決めたらしいが、帰国する前に権大使が日本外務省を訪問し、今回の事態に対して厳重に抗議するとのことだが、是非一言伝えてほしい

「貴国は日本が正すべきことがあると言っているが、是非とも国際司法裁判にゆだねるという方法があると国民と政府に伝えてほしい」と。


韓国の教科書では竹島を独島と称し、自国の領土と明記している。日本は、領土的野心によって資料を改ざんしたり、都合のいいように拡大解釈したり、事実を捏造したりしているのではなく、正当な歴史的事実の連続としての、そして国際ルールに基づいて「竹島は自国領土である」ということに何ら疑問をもつことがないのなら、日本も教科書に明記すべきことではないのか?そしてその竹島を韓国は自国領だと主張していることも当然記述すべきだろう。
歴史的・地理的・国際法的な事実関係を、冷静に歪曲捏造することなく伝えることが教育である。


両国が互いの主張にすれ違いがある領土問題において、互いの国が国内において国の主張を明記して何が悪いのか? もし悪いとすれば、それは国際ルールを無視したエゴであったり、歴史事実の改ざんであったり、事実を隠蔽することである。


あいまいな言い回しによって、「言いたいことは分るよね?」って学校で子供達に言えるわけが無い。言いたいこと即ち、知るべきことは真っ直ぐな表現で伝えないと誤解を招く。

客観的に見て疑う余地の無い、そして一方的な都合の良い解釈でないならば、自信をもって堂々と「竹島は日本の固有の領土であり疑う余地が無い」と明記し、にもかかわらず「韓国ではこのように主張し、日本国はそれに対してこのように対応している」と記述しなければならないのではないか。その後を考えるのは子供達其々でいいではないか。


もしもそれに韓国が異議を唱えるのなら、日本は韓国に対して「貴国も削除せよ」というべきではないか。そうでなければ、実効支配と既成事実の積み重ねの最終段階に入ってしまうのではないか?

不透明な歴史資料はともかく、現実に実効支配し、日本は立ち入ることができない。
そして近海調査も許さないという韓国の姿勢に、独自の海洋調査を断念する。教科書では韓国では自国領だと明記し教育を行なっているが、日本は自国教科書記述に対する韓国の異議に従い取り下げ、自国領だと教育をしていない。
それでも竹島は日本の領土だと主張してどこの国が「ごもっとも」と賛同してくれるだろう。

 ・だったら、きちんと子供たちに教育しろよ。
 ・そんなに自国領だと言うならなんで韓国の実効警備を排除しないか。
 ・裁判所になんとしてでも引きずり出して裁定を求めろよ。

他の国からそういわれるのが関の山じゃないのかと思う。

教科書に明記するという一連の流れは、竹島について日本の主張を国際化するもしくは、自国領土の確定に向けてのステップアップの機会じゃなかったのか。

当然起こるであろう韓国からの異議に対して、それならば貴国も竹島についての記述を削除するか、日本の主張を明記してほしいと、唱えるべきだと思う。
その両方も嫌だと言うなら日本は竹島に関する記述を行なうほかない。

韓国が万に一つの「もしも・・」として、竹島に関する記述を削除する、もしくは日本が求める文章の記述を受け入れるとして、それが国内における政府の国民からの信頼失墜となったとしても、それは過去の日韓の交渉において、都合の良い自国の主張ばかりしたあげく、ゆがんだ教育の結果なのだから、自分自身を後悔すべきで、日本の看過する事ではないのではないか。


もし互いの交流や国益に損害を被ったとしても、しっかりと互いの国が敬意を持って取組んでいなかった中の利益など、あること自体がまやかしなのだから、あらためて相互に本当の利益の享受を積み上げればいいではないか。互いの国に敬意を持っていれば、其々の主張が自国の国益を損なうものであっても、違う意見として認め合うことができる。そして韓国と日本は必ず認め合うことができるはずだ。


福田総理には知ってほしい。「彼らの主張は自分たちと違うのだ」と言うことを認め合うことこそ、互いを尊敬することにつながり、それを友人関係と呼ぶのだと。


敬意をもたず自国のわがままを喚き散らすのは大人の国とはいえない。大人の国でなければ友達にはなれない。だから互いが主張しあえばいい。それでギスギスしてもしようがない。実は違うと思いながら付き合うほど気持ちの悪いものは無い。しかも自分のことばかり言って人の話を聞かないなんて、長さの分らない導火線の爆弾を抱えているようなものだ。

互いが主張し、第3者が仲介に入るのを求めるのが、深い傷を負わない得策だろう。否が応でも納得するしかないのだから。

ただし、竹島問題の解決にあたって、日本はその近海を共同開発地域として、韓国とともに漁業の安定した共同利用を提案するべきだし、非武装地域として互いの不安を払拭し、一つのきっかけとして日韓の新たな信頼関係を築き上げなければならないと思う。

ちなみに、中央日報は日本の北方領土に関し、「旧ソ連が第2次世界大戦直後に占有した4島と関連し、日本政府はロシアを相手に執拗に返還を求めている。」と伝えている。



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(記者:竹山壽)

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