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2008年07月17日(木) 15時41分

ガンダムの元ネタはあの名作小説だった!(その3・完結編)ツカサネット新聞

書籍『ガンダム・エイジ』(99年刊)収録のサンライズ企画室デスク(当時)、飯塚正夫氏のインタビュー記事より、『機動戦士ガンダム』の企画がいかにして出来上がっていったかを探るシリーズの3回目、今回は『ガンダム』というタイトルが完成した経緯を追っていきます。今回で完結!

“宇宙版『十五少年漂流記』”としてスタートした企画は、当初予定になかったロボットを登場させることにより、『ガンボーイ』という名前の企画に変更されていた。当時はまだ銃を持ったロボットという設定が珍しかったのでまずは“ガン”、もちろん主役は少年たちなので“ボーイ”、あわせて“ガンボーイ”というシンプルな成り立ちである。

この頃、敵であるジオンの設定も徐々に決まりつつあった。ジオンのイメージの源流はナチス・ドイツである。悪=ナチス、というこれもシンプルな成り立ちだ。飯塚氏が揃えたナチス関連の資料をもとに、安彦良和氏がジオンのデザインを固めていったのだという。

アムロの宿敵、シャアのネーミングは、同じく仮面の悪役だった『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキンから採られている。シャーキンから“キン”を取って“シャー”。フルネームはフランス人歌手、シャルル・アズナブールから採られている。これは単なる語呂合わせだと飯塚氏は笑い飛ばしている。ちなみに『ライディーン』の監督は『ガンダム』と同じ富野喜幸氏だった。

『ガンボーイ』に話を戻そう。当時は巨大ロボットものの元祖である『マジンガーZ』がそうであるように、「ン」と濁音が入っていないとヒットしない、というジンクスがあった(関係ないが、お笑い芸人にも「ン」がつく名前のコンビは売れる、というジンクスがある)。『ザンボット3』も『ダイターン3』もそれにならってタイトルがつけられているのだ。

『ガンボーイ』もそのジンクスにはあてはまっているのだが、飯塚氏らは今ひとつインパクトに欠けると考えていた。当時流行っていたのが男性化粧品の「マンダム」と映画の『コンボイ』。『ガンボーイ』も「マンダム」や『コンボイ』のように力強い響きにならないだろうか。いい大人たちが知恵を絞って考えて、思い出したのが最初のタイトル案だった『フリーダム・ファイター』。フリーダムのダムなんかいいんじゃない? これで「GUNDUM」。だけどUがふたつ並ぶと読みづらいから「GUNDAM」にしよう。DAMは洪水を防ぐダムという意味もあるから、地球を守る、という意味にも転用できるだろう。よし、これで決定!

こうしてついに『機動戦士ガンダム』という名前の企画が完成するのである。(了)



『ガンダム・エイジ』は絶版ですが、アマゾンなどには在庫があるようです。



ガンダムの元ネタはあの名作小説だった!(その1)
ガンダムの元ネタはあの名作小説だった!(その2)





(記者:ポポちゃん)

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写真撮影:ポポちゃん記者

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