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2008年07月17日(木) 15時32分

医療問題は待ったなし!!ツカサネット新聞

銚子私立病院が閉鎖する…。

公立病院がつぶれる時代がついに来てしまった。来てしまったというよりも来るべくして来たといったほうが語弊がないであろう。

政府の毎年2,200億円ずつ社会保障費を削るという方針による医療費抑制、さらには医師過剰という明らかな読み間違いによる医師数抑制政策による医師不足が原因だ。政府は重い腰をあげ、医療費を「聖域」からはずし、国公立大学病院医学部の増員に踏み切った。

ただ周知の通り医学部の定員を増員したところで効果が出るのは10年後。医療費をみても、「虫垂炎(いわゆる盲腸)の医療費は中国より安い」といわれるほどの安価。それでいて世界トップレベルの医療水準を医師や看護師、その他医療スタッフの努力で提供されているのだ。

今頃になりマスコミも「医療崩壊の危機」ということで騒ぎ出したが、現場では「時既に遅し」の雰囲気が漂っている。「10年後には外科医のなり手がいなくなる」というのは有名な話であるし、小児科・産婦人科のなり手にいたってはさらに深刻さを増している。

では医学部の学生にどのような科が人気があるかご存知だろうか?特定の科に興味があれば、当然その科を志すであろうが、そうではない「まだ何科に進むか決めていない」学生にとっては「呼ばれない」科が人気がある。要するに夜中や休日に呼ばれることもなく自分のQOL(Quolity of life)が保たれる科だ。

一昔前は眼科が一大ブームであり、都心部では飽和状態にある。最近は以前ほどではないが眼科、そして形成外科(美容整形へとつながることも)、皮膚科などである。医師も人間であるいじょうQOLを求めるのは間違いではない。同じ給料であるならば、待遇がよく自分の時間が作れる科にいきたいと思うのは当然であろう。

さらには田舎よりも便利な大都市で働きたいと思うのも当然であろう。医師の地域的な偏在は「臨床研修医制度」が開始されたことが大きい。では科の偏在は何が原因なのか??

一つには前述のごとくQOLを重視する傾向があること。もう一つはriskを避けるようになったことだ。その意味では某県であった産婦人科医師への賠償責任を認めた判決が医療界にもたらしている影響は大きい。さらには別の判例であるが「救急においては、たとえ自分の専門領域でなくとも、最善の医療を提供しなければならない」というのもあった。

簡単に言うと内科医師が当直をしていて、頭痛の患者が来て実は脳出血であり救命できなかったとしよう。内科医師は彼のできうる範囲で最善を尽くしたとしても、脳神経外科医が処置すれば助かったかもしれないといわれれば責任を取らなければならないのだ。

最善の医療を求めるのは最もだが、理想と現実のギャップは想像以上に大きい。それを埋めなければならないのは、この現状を作り出した医療行政を行った政府に他ならない。

医療崩壊が現実味を帯びている今、医師の地域的、領域的偏在をどのように解消していくか、即効性のある施策が必要だ。そのためにも「臨床研修医制度」の抜本的見直し、QOLが低いとされている科の待遇改善はもとより、司法も医療の現実を踏まえた判例を出すのが望まれる。



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(記者:ごぉるでん)

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