１６日午後零時５０分ごろ、愛知県豊田市の東名高速道路上り線豊田インターチェンジ付近を走行中の名古屋発東京行きＪＲ東海バスの高速バスから「刃物を持った少年が運転席の後ろにいる」と、同社を通じて１１０番があった。
少年は運転手（３９）の首に果物ナイフ（刃渡り約１０センチ）を突き付けバスを乗っ取り、午後１時１０分には自ら携帯電話で「おれはバスジャックした」と１１０番した。
県警のパトカーがバスを見つけ、愛知県岡崎市の美合パーキングエリアに車両を誘導。乗客を降ろし、午後２時ごろ、銃刀法違反と監禁の現行犯で少年を逮捕した。乗客、運転手計１１人にけがはなかった。
調べでは、少年は山口県宇部市の中学２年（１４）。「親に怒られ、嫌がらせでやった。世間を騒がせたかった」「ただ走りたかった。刃物は１００円ショップで買った」と供述。山口県宇部市教育委員会などによると、少年は同じ中学校の女子生徒とトラブルになり、学校から注意されていたという。少年は始発の名古屋から乗車していた。
ＪＲ東海バスによると、バスは３８人乗りの２階建て。同社の男性社員（４１）が一階席の最前列左側に偶然乗っており、少年が２階から下りて運転席に近づき、右手に果物ナイフを持っているのに気付いた。社員が携帯電話で同社に連絡、１１０番するよう小声で依頼したという。
男性社員によると、その後、運転手から乗客に「携帯電話の電源を切って、１階に集まってください」と連絡があり、少年が乗客全員から携帯電話を取り上げた。
県警によると、少年は警察官の説得に興奮したり、抵抗したりした様子はなかったという。果物ナイフのほか、ペティナイフ（刃渡り約１２センチ）も所持し、黒い長袖シャツにサングラス姿だった。
少年は会社員の父親（４２）、母親（４１）と妹（１２）の４人家族。１５日未明に宇部市の自宅を家出し、同日昼ごろ、家族が捜索願を出していた。
バスは１６日正午に名古屋を出発し、午後６時ごろ到着予定だった。
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