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2008年07月16日(水) 21時56分

業界に衝撃、バスジャック対策の限界露呈 14歳犯行産経新聞

 夏の行楽、帰省シーズンを前にした時期に発生したバスジャック事件。乗客・乗員全員が無事だったとはいえ、バス業界には大きな衝撃が走った。バス業界は緊急時の対策を積み重ねてきているが“限界”を指摘する声も出ている。国土交通省でも、緊急時の運行のあり方や車内設備について検証し、改善すべき点があれば指導していく方針だ。

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 飛行機と違い、鉄道やバスでは乗客の荷物検査がない。JR東海バス(名古屋市)は「乗車前に個々の客の荷物を調べ、刃物の持ち込みを調べるのは物理的に無理」と、限界を認める。

 現在、運輸規則で「油脂・火薬」や「多量のマッチ」の持ち込みは禁じられている。さらに銃刀法でナイフなどの刃物の所持が規制されている。だが、これらの情報は乗り場や車内に掲示されているだけだ。

 日本バス協会(東京都千代田区)も「路線バスでは多くの停留所があり、空港のような整備をすることはできない」と話す。金属探知機は多くのバス停に設置する必要があり、莫大(ばくだい)なコストがかかり、現実的ではないという。

 平成12年の西鉄バスジャック事件を教訓に、バス各社は緊急時にハザードランプを点滅させたり、行き先表示板にSOSを表示できるようにしたりするなど、対応マニュアルを整備。訓練を繰り返している。

 しかし、これらの対策は「緊急事態の発生後に乗客の安全を確保するための対策が中心で、発生を防ぐためのものではない」(日本バス協会)。

 ガソリンの高騰で、マイカー利用の手控えを予想される今夏。関東のバス会社は「この夏は路線バスにとって営業上の期待が、いつになく大きいシーズン。事件を原因にしたバス離れが心配」と影響の広がりを懸念していた。

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