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2008年07月16日(水) 18時05分

川沿いのアジサイを訪れた──香川県さぬき市 オーマイニュース

 さぬき市に流れる鴨部(かべ)川のうち、中流の造田地域に紫陽花(あじさい)の花が咲き誇っています。

 「川沿いの土手に鮮やかに咲いているんだよ」と知人から聞いたのは数年前です。

 スケジュールの都合で実現せず、ようやく今年の6月末に、初めて訪れることができました。以来、週に2回、仕事の合い間や、病院通いの家族を送迎した後、車から降りて、一帯を歩きます。
植栽は5年生の作業で、児童、PTA、そして地域が一帯となって育てています(撮影:笠井 隆宏)
 この紫陽花の道は、“鴨部川アジサイ夢ロード”と名づけられています。その整備は8年前(2000年)、近くの造田小学校5年生が総合学習で当時の長尾町の自慢について調べたことから始まります。

 史跡や行事などをあげていくなかで、自分たちの住む造田地域に有名なものがないことにがっかりした小学生が、「ないならば、自分たちで、県内外から大勢の人が集まる場所を作ろうではないか」と案を出しました。そして、いろいろ考えた結果、長尾町の花であった紫陽花を植えてアジサイロードを作ろうということに決まったそうです。

 当時、川沿いは竹やぶに囲まれ、雑草も多く、人は寄り付かない状態でした。地域のボランティアグループは除草・清掃作業をして、コスモスを植えていましたが、こういった状態は続いていました。そのようなところへ、小学校の総合学習の話題と出会うことになったのです。

 まずパンフレットを作って、長尾町に協力を求めたところ、賛成してもらうことができ、そこからことから計画がスタートしました。その後、知事や県議会の協力を得、住民による川の環境保全活動を支援する、県の“リフレッシュ「香(か)の川」パートナーシップ”事業の第1号に指定されました。

 花は、「アジサイ神社」として知られる観音寺市の粟井神社から苗を譲り受けて、500メートルの川の両岸に700本植えたのが始まりです。

 以降、小学生や地域のボランティア、さらにPTAも加わって、毎年1000本以上は苗を作り、手入れをしているそうです。現在では1.5キロメートル、 2000本あまりにまでになっています。

 土手の東はピンク系、西はピンクの中に紫系が少し目立っていました。近所の女性によると、色は土壌の質に左右されるそうで、ピンクが咲いているのは土壌が酸性、紫はアルカリ性らしいです。「今年は見事ですが、渇水の年は花が小さかったですよ」と8年間のシーンを教えて下さいました。

 植栽事業を行っている鴨部川アジサイ夢ロード造田の会の会長、松原壮典(たけのり)さんは、

 「アジサイロードは造田地域だけのものと思っている方が多いようです。しかし、夢の1字を入れたのは、将来は川の河口である瀬戸内海まで順次、少しずつ延ばして行こう! という想いがあるのですよ」

と話します。そのためには、「咲いている時期だけでなく、1年間の水管理が大切。特に夏場は大変です」(松原さん)

 地域のみなさんにとっては、来シーズンに向けての作業が待っています。もう慣れているとはいえ、瀬戸内海までのという夢の実現は考えるだけでも大変です。地域力に期待を膨らませるアジサイ夢ロードでの梅雨のひとときでした。

(記者:笠井 隆宏)

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