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2008年07月15日(火) 18時05分

レクサス一時輸入ストップ 中国政府決定の裏事情J-CASTニュース

 中国市場で飛ぶように売れていたトヨタのレクサスは、突然中国政府から輸入ライセンスの更新に難色を示された。しかし、これは中国政府のトヨタいじめではない。レクサスの販売店が、あまりにも高い販売目標を達成できそうにない、として政府に泣きついたというのが真相らしい。爆発的売れ行きにかげりが見え、アメリカ、韓国で実現したレクサス神話を中国でも複製しようとするトヨタは、今意外な難局に直面している。

■LS600hLが一台約2710万円

 日系メーカーの高級車は、どこも売りに売れているといわれている。2006年にホンダは、高級車のアキュラを中国に導入し、150台だけ売れて、完全に不発に終わった。しかし、「2007年に1400台ほど売れて、08年の1月から6月までは、早くも1350台は売れた」とホンダ(中国)広報部は、J-CASTの取材に答える。

 日産(中国)のインフィニティ販売担当者は、実売台数を明らかにしなかったが、「2007年から中国で輸入販売しており、ほとんど広告もしておらず、現在、専門販売店は8店舗を持っているが、販売は非常に順調だ」とJ-CASTに話した。

 トヨタ(中国)は、2008年にレクサスを4万台販売する計画を立てているという。ホンダ、日産から見て想像もつかない高い水準だ。中国市場では大衆車の価格がどんどん値下がりしており、利潤も薄くなっている。そのせいもあって、高級車は、ますます各社の黄金の「打ち出の小槌」になっている。レクサスのLS600hLを取ってみると、日本ではだいたい1330万円ぐらいだが、韓国では2400万円であり、中国では159.80万元(約2710万円)になる。関税などの諸費用を取り除いても、「レクサスを一台売って得た利潤は、普通のトヨタ車の十倍以上もある」(自動車担当の中国記者)。

 レクサス専門店(中国では4S店)の設置には、トヨタは力を入れてきた。日産のインフィニティが8店舗に対して、

  「レクサスは、2005年の6店舗からスタートして、06年に12店舗、07年に26店舗、今年は40店舗を持っている」

と中国でのレクサスの販売担当者は、J-CASTに明かす。

 3年で6倍以上も増えたレクサスの4S店は、レクサスの販売量を爆発的に押し上げていったが、ここにきて在庫の増加などの問題が露呈した。

■ライセンスの更新停止は販売店の不振が背景

 レクサスの販売量について、自動車専門の調査会社である北京波璽?汽車信息諮訊有限公司は、07年に3万台と推計している。この年、レクサスは中国では2.6万台の輸入ライセンスを取得していたが、それとほぼ合っている。08年1−5月には、新規のナンバープレートを付けたレクサスは、13951台であり、08年一年の販売台数は3.3万台と同社は見る。

 昨年の爆発的売れ行きをベースにして、トヨタは4万台を見込んでいた。ところが、破局はすぐやってきた。08年に入ってから、インフレ、輸入車に対する消費税率の引き上げのうわさなど、高級車販売に不利な条件がぞろぞろ出来てきて、売り上げも低迷ぎみになった。

 それで「レクサスの4S店は、連名で商務部機電産品進出口弁公室に苦情を申し立てた。在庫の増加、売れ行きの不調によって経営不振となったことで、商務部はライセンスの更新を控えた」。こんな裏事情を、7月11日付の『21世紀経済報道』で史宝華記者がスクープした。

 J-CASTがライセンス更新の状況について、レクサス(中国)に聞くと、

  「輸入ライセンスの更新は一週間ほど遅れるかもしれないが、交付しないという話は聞いていない」

と答えた。

 日産、ホンダの高級車輸入についてのライセンス更新は、今まで通りに進んでいる。レクサスにも、交付される可能性は高いが、レクサスが新たな課題に直面しているのは間違いない。


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