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2008年07月15日(火) 12時00分

アメリカでサッカーがメジャーになり切れない理由R25

デイビッド・ベッカムがロサンゼルスへ渡った07年以降、米サッカー界が盛り上りを見せているとのニュースが流れている。メジャーリーグサッカー(以下、MLS)では、これまで1万4000人弱だった1試合当たりの平均観客動員数が1万6770人に増加。ベッカム所属のギャラクシーは平均約2万4000人を集め、米4大スポーツと同等の数字を残した(右表 ※R25.jpでは表が掲載されています)。長らく「サッカー不毛の地」と呼ばれてきたアメリカで、ついにMLSが日の目を見つつあるのだろうか?

「もともと、アメリカでもサッカーは人気スポーツの1つで、競技人口は世界一(06年FIFA発表)を誇ります。観客数の増加は、ベッカムの出現で多くの潜在的なファンが引き寄せられた結果でしょう」とは、米スポーツ文化を研究している武蔵大学人文学部・川島浩平教授。つまり、MLSが“米5大スポーツ”になる日は近いと?

「いや、それがそうとも言い切れないんです。一般的なアメリカ人にとって、サッカーは“子どものころにするスポーツ”。小、中学生まで続けて基礎体力を養い、高校、大学ではアメリカンフットボールやバスケットボールに転向するケースが大半です」

この流れの背景には、アメリカのスポーツ奨学金制度が関係しているそうだ。大学や専門学校を発祥とするアメフトやバスケに学費免除の制度が多く、優秀な人材がサッカー界に集まりにくいのだという。

「結果、MLSにはアメリカ人のスーパースターがまだ誕生していません。あるスポーツがその国でメジャーになるためには、自国のスター選手の存在が必要不可欠です。競技人口のわりに、メジャースポーツになり切れない理由はここにあるのでしょう」

確かに、スター選手が引退後も代表監督や協会役員を務めて自国の発展に寄与する欧州などに比べて、アメリカのサッカー界には印象的な人物がいない…。人気上昇中とはいえ、イギリス人のベッカムに頼るMLSを主要スポーツとするのは、まだちょっと時期尚早なのかも。
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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