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2008年07月15日(火) 08時00分

布川事件 高裁も再審支持 自白「客観的事実に反する」産経新聞

 茨城県利根町布川(ふかわ)で昭和42年、大工の男性が殺害され現金を奪われた「布川事件」の強盗殺人罪で無期懲役刑が確定した元服役囚の桜井昌司元被告(61)と杉山卓男元被告(61)の第2次再審請求即時抗告審で、東京高裁(門野博裁判長)は14日、再審開始を認めた水戸地裁土浦支部を支持し、検察側の抗告を棄却した。

 門野裁判長は、第2次再審請求で提出された新証拠のうち、現場付近で男2人を目撃したという近隣の主婦の証言を、「2人の当時の容姿や着衣とかなり異なる」と判断。「確定判決が採用した目撃証言の信用性には重大な疑問がある」とした。また弁護側提出の新証拠である医師の意見書を採用。「下着を口に詰めて、手で首を絞めた」とする自白について「客観的事実に反する」と判断した。

 室内を物色したなどとする2人の自白についても、「顕著な変遷が認められ、重要部分に客観的事実に反する供述が含まれている」として自白の信用性を否定し、「有罪とした確定判決の事実認定には合理的な疑いが生じている」と結論付けた。今回の決定に対し、検察側が5日以内に特別抗告すれば最高裁で改めて審理されるが、しなければ再審開始が決まる。無期懲役刑が確定した事件の再審開始決定は過去に3件ある。

 鈴木和宏・東京高検次席検事の話「当庁の主張が認められず、誠に遺憾。決定の内容を十分に検討し、最高検とも協議して適切に対処したい」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080715-00000065-san-soci