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2008年07月15日(火) 07時51分

布川事件の再審決定 元被告2人、笑顔と安堵 茨城産経新聞

 茨城県利根町布川で昭和42年に発生した「布川事件」。40年以上にわたり無実を訴え続けた桜井昌司元被告(61)と杉山卓男元被告(61)の再審請求に対し、東京高裁は14日、再審開始を認める決定をした。高裁の書記官室で決定文を受け取った2人は、検察側への「抗告棄却」の文字を見つけた瞬間、満面の笑みを浮かべ、弁護団と喜びを分かち合った。

 東京都千代田区の高裁前では同日、全国から集まった支援者が2人の冤罪(えんざい)を訴える緑色ののぼりを掲げた。桜井元被告と杉山元被告は、いずれも緊張の面持ちで高裁内に足を踏み入れた。

 午前10時、再審開始を支持する決定文を受け取ると、笑顔と安(あん)堵(ど)が広がった。桜井元被告は、知人や弁護士に携帯電話で「勝ちました」と報告しながら、「少しほっとした」と一言。杉山元被告も「『棄却』の文字がすぐ目に飛び込んだ。でも、まだ実感がわかない」と話した。

 高裁前で待ちかまえていた支援者らは、弁護士が「再審開始」「勝利決定」と書いた幕を掲げると、大きな歓声をあげた。ある支援者は「長い時間をかけて、やっと真実に近づいた」と興奮気味に語った。

 事件から41年。大工の玉村象天(しょうてん)さん=当時(62)=が殺害された自宅は、すっかり様子が変わった。玉村さん方は事件から数年後、取り壊され、跡地には理容店が開業した。家の前の砂利道も舗装された。

 近くの主婦(70)も事件のことをうっすらと覚えている程度だ。「まわりは事件のことを知らない人がほとんど。もう昔の話だと思っていたのですが、まだ事件は終わっていなかったんですね」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080715-00000011-san-l08