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2008年07月14日(月) 17時00分

布川事件 高裁で再審決定 「勝ちました」満面の笑み産経新聞

 20代から無実を訴え続け、約40年。「布川事件」で無期懲役刑が確定し、服役後に仮釈放された桜井昌司元被告(61)と杉山卓男元被告(61)の前で、再審の重い扉が大きく開いた。水戸地裁土浦支部に続き、再審開始を認めた14日の東京高裁決定。2人は高裁の書記官室で決定文を受け取ると、満面の笑みを浮かべた。(1面参照)

 午前9時48分、2人は緊張した面持ちで東京高裁に到着。集まった支援者の拍手に送り出されるようにして、正面玄関から中に入った。「頑張れよ」と声を掛けられた桜井元被告は笑顔を見せ、杉山元被告も表情を緩ませた。

 15階の書記官室で10時に決定文を受け取ると、目を落として再審開始の決定を確かめ、弁護団のメンバー一人一人とがっちり握手。桜井元被告は「お疲れさん」と涙を流す妻を抱き寄せ、杉山元被告は「まだ実感がわかない」と語った。

 外では黄色いバンダナ姿の支援者ら約200人が決定を待ち構えた。走りだした弁護士2人が「再審開始」「勝利決定」と書いた幕を掲げると「よしっ」「やった」と歓声がわき起こった。桜井元被告はハンドマイクで「やっと真実が勝ちました。日本一の弁護士と支援者のおかげです」と笑顔で報告。杉山元被告は「あと少しの辛抱なので頑張ります」と声のトーンを上げた。支援者の拍手がやまない中、2人はがっちりと固い握手を交わした。

 その後、弁護団とともに近くの弁護士会館で記者会見し、「こういう冤罪(えんざい)を許してはいけない。自白で有罪判決が出されるのはやめてほしい」と捜査の在り方を批判。弁護団長の柴田五郎弁護士は「検察の特別抗告を許してはいけない」と語気を強めた。

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