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2008年07月14日(月) 11時56分

<布川事件>41年「辛抱あと少し」 再審決定で毎日新聞

 「布川事件」の第2次再審請求で、東京高裁(門野博裁判長)は14日、水戸地裁土浦支部の再審開始決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却。41年間の「無実の叫び」が再び裁判所を動かした。強盗殺人事件「布川事件」の第2次再審請求で14日、水戸地裁土浦支部の再審開始決定を支持した東京高裁決定。無期懲役の刑が確定し服役後、仮釈放されていた桜井昌司さん(61)、杉山卓男さん(61)は喜びをかみしめた。【清野崇宏、山崎理絵、三木幸治】

 午前10時過ぎ、東京・霞が関の高裁書記官室で決定書を受け取った桜井さんはVサインをしながら、待っていた妻のもとに駆け寄って無言でしっかりと抱き合った。

 裁判所玄関に「再審開始」の幕が掲げられると「やったぞ」と支援者から拍手と歓声が上がった。ベージュのスーツ姿の杉山さんは玄関に手で大きく丸を作って現れ「やっと開始決定できました。あと少しの辛抱です。頑張りますのでよろしくお願いします」とはっきりとした声で支援者にあいさつした。桜井さんはグレーのスーツ姿で「やっと当たり前の真実が認められた。長かった。弁護団や支援者のおかげ。再審開始決定は出たが、闘いは続きます」と静かに決定を喜んだ。

 96年に仮釈放されるまで獄中の2人の耳や目となって、3000通近い手紙を送り続けた東京都世田谷区の高橋勝子さん(63)は「41年も闘い続けることは簡単ではない。えん罪であればこそ頑張れたのだと思う。おめでとうと声を掛けたい」と喜んだ。著書「舵(かじ)のない船」で布川事件を描いたノンフィクション作家の伊佐千尋さんは「記録を読めば素人でも有罪を証明する証拠がないと分かる。見込み捜査、自白の強要、裁判官の判断ミス……。えん罪の構図は今も昔も変わらない。当然の結果だ」と話した。

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