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2008年07月14日(月) 10時10分

布川事件、再審を支持=「目撃証言、自白に疑問」−無期、仮釈放の2人・東京高裁時事通信

 茨城県利根町布川で1967年、男性=当時(62)=が殺害され、現金が奪われた「布川事件」で無期懲役が確定し、服役後に仮釈放された桜井昌司さん(61)と杉山卓男さん(61)の第2次再審請求抗告審で、東京高裁の門野博裁判長は14日、「犯行時間帯の目撃証言と捜査段階の自白はいずれも信用性に重大な疑問がある」と述べ、水戸地裁土浦支部の再審開始決定を支持、検察側の即時抗告を棄却する決定をした。
 門野裁判長は、弁護側の医師の意見書や、職権で行った鑑定結果から、「布で首を絞められた可能性が高い上、下着を口に押し込んだのは男性の意識がなくなった後と考えるのが相当」と判断。口に下着を押し込み、手で首を強く押さえて殺害したとの自白は客観的事実に反すると述べた。
 桜井さんの自白が録音されたテープに13カ所の編集跡があったとする鑑定書についても、弁護側の主張通り、「取調官の誘導があったことをうかがわせる」とした。
 その上で、「犯行に至る経緯、殺害状況などに著しい変遷があった」と指摘。「実際に体験したことでないため、不自然な変遷を重ねた」とした。
 抗告審で門野裁判長は、新たに開示された近隣住民の調書を証拠採用。住民が目撃した男は、桜井さんらの容姿、着衣とはかなり異なるとして、2人を見たとした確定審での目撃証言の信用性を否定した。 

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