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2008年07月14日(月) 17時00分

大野晋氏死去 88歳 国語学者「日本語練習帳」産経新聞

 ミリオンセラー「日本語練習帳」などで知られる国語学者の大野晋(おおの・すすむ)氏が14日午前4時、心不全のため、東京都内の病院で死去した。88歳だった。通夜は17日午後6時、葬儀・告別式は18日午前10時、東京都台東区谷中7の14の8、天王寺で。喪主は妻、千恵子(ちえこ)さん。

 東京都出身。東京大卒。上代特殊仮名遣いの研究を発展させ、昭和21年と翌年、連続で有栖川宮記念学術奨励金を受けた。

 文献資料をもとに考古学や人類学の知見も加え、日本語を通じて日本とは何かを考察。主著「日本語の形成」のほか、古代日本語の展開を平明に説明した「日本語の起源」「日本語をさかのぼる」などで一般の人にも親しまれた。また日本語とタミル語の関係を指摘して物議をかもした。

 平成2年、芸術選奨文部大臣賞を受賞。6年には「係り結びの研究」で読売文学賞を受賞。平成11年に出版した「日本語練習帳」は約190万部の大ヒットに。同年、これまでの研究が認められて井上靖文化賞を受賞した。

 昭和27年に学習院大学助教授、35年に教授となってから長く務め、同大学名誉教授。

                   ◇

 評論家、森本哲郎さんの話「昭和30年代からの付き合いで日本人や日本語の起源について夜を徹して議論したこともありました。自分の意見を明確に主張するため、いろいろあつれきが生じたようですが、率直で筋を通した学者でした。つい最近、電話で『体に異常はないけれど、米寿は米寿だな』と弱気なことを言っていたのが印象に残っています。残念です」

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