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2008年07月14日(月) 21時40分

魚の値上げも?寿司店困惑 原油高で一斉休漁へ産経新聞

 燃油価格高騰による窮状を訴えるため、全国各地の漁船が14日から15日未明にかけ、出漁を取りやめた。15日には全国20万隻のほぼすべてが一斉に休漁する見通しで、輸入を除くほとんどの鮮魚の水揚げが止まる異例の事態となる。卸業者やスーパーなどは大量の鮮魚をいけすなどに蓄えているが、一般の寿司店では「休業するしかない」と悲痛な声も聞かれる。農林水産省も鮮魚の値上げを認める姿勢を示し、一般の食卓にも影響が出そうだ。
 休漁は、全国漁業協同組合連合会(全漁連)など16団体の主導。漁船の燃油が5年前の約3倍近くにまで高騰しているとして、政府・与党に高騰分の直接補填などを求めると同時に、傘下の漁船に対して15日に休漁するよう呼びかけた。
 国内のほとんどの漁船はこの16団体所属で、岡山、神奈川県などでは14日から、他の多くの地域でも15日未明から休漁に入った。
 このため16日には、水揚げされたばかりの国産鮮魚が全国の市場から消え、一時的に魚の値上がりも予想される。各市場では卸業者が対応に追われており、東京・築地の仲卸業者団体は「休漁に備え、業者はいけすに魚を蓄えているが、初めてのことで何が起きるのか…」と不安な表情だ。
 ただ、休漁の実行は以前から公表されていたため、スーパー大手の「イトーヨーカ堂」では冷凍の魚を準備し、専用のいけすにも養殖の鮮魚を蓄えている。江戸川区のあるスーパーの生鮮担当者は「刺し身を小さな容器で売るなどして、価格維持に努める」と話した。
 一方で、街の寿司店の不安は大きい。東京都北区の「志満ずし」の店主、大木洋さん(65)は「冷凍物は使わないし、買いだめはしない。最悪の場合は店を閉める」。江戸川区の「石寿司」の店主、浜中九三夫さん(67)は「常連客がいるので急に休めない。売値を上げることもできない」と困り顔だ。
 そのうえ、来月に漁期が始まるサンマでも、全国さんま棒受網(ぼううけあみ)漁業協同組合が14日、大型船の休漁を1日間行うと発表した。政府・与党もこうした事態に配慮し、自民党の谷垣禎一政調会長は15日に行われる全漁連などの集会に出席する。農水省の白須敏朗事務次官は14日、燃油代補填こそ認めなかったが、休漁を「やむにやまれぬ行動」とし、「消費者に(負担を)お願いせざるを得ないのでは」と、魚の長期的値上げに理解を示した。

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