2008年07月14日(月) 18時00分
ラブホテルから見えるニッポンの性 第4回(オーマイニュース)
ラブホテルに取材に行くと、太る。
今、ラブホテル業界は食事に非常に力を入れている。
ファミレスや居酒屋並みのメニューが揃っているところも多く、なかにはフランス料理のフルコースや割烹料理が食べられるようなホテルもある。
「お部屋でお食事をお楽しみください」という旅館や、個室が売りのレストランもうかうかしてはいられない状況だ!
取材に行くと、そのホテルの一番の売りを聞くので、よく「是非オススメメニューを試食してください!」という流れになる。
スイーツに力を入れているホテル(オーナーさんが一番美味しいケーキ屋さんのパティシエを引き抜いて作ってもらっている本格的スイーツが楽しめる)では、ケーキバイキングさながらのスイーツ天国だった。
そんな時、私はもりもり食べる。
出されたモノは残さないようにと教育されたので、取材中でももりもり食べる。
そして太る。
余談だが、私は食べるとすぐに顔が丸くなるので、家に帰るとラブホテルに取材に行って、なんで丸くなって帰って来るのかとよく家族に言われたものだ (お母さん、それは私がホテルでケーキを20個食べてきたからです)。
ラブホテルで登場した巨大パフェ。たばこの箱と大きさを比較してみてください(イラスト:金益見)
現在、業界内では、ハード面での戦いは終わったといわれている。
ハード面というのは、外装や内装、設備のこと。新しくオープンするホテルは、デザイン性も高く、最新設備満載である。
今や、どこのラブホテルでもプロジェクターや大型テレビ、浴室テレビなどの設備は普通に搭載されている。ハード面に関しては、最新設備搭載があたりまえの時代で、そこではライバル店との差別化は図れない。
それでは、生存競争の焦点はどこにあるのだろうか?
……それが、ソフト面、すなわちサービスである。
最初にあげた食事サービスもそのひとつであり、メニューの中の一品は無料でもらえるところも多い。そういったサービスは一般にウエルカムサービスと呼ばれることが多く、入店するだけで飲み物やスイーツ、中にはステーキが無料で付いてくるホテルもある。
90年代前半にはじまったケーキのウエルカムサービスは、女性受けを考えた大阪のラブホテルが始めて、全国に広がった画期的なサービスだった。
個人的な感想を言うと、名古屋にあるホテルのウエルカムサービスのケーキが美味しすぎて仰天した記憶がある(名古屋のホテルはサービスをケチらないので、ケーキの質も高いのだ)。
現在は、ラブホテルのターゲットがカップルのみならず、家族連れや旅行者まで広がっているので、立地、客層でもサービスのあり方は多種多様である。
例えば、観光地などでは、娯楽施設の割引券や、観光マップの貸し出しサービスがあったり、ディズニーランド近くのホテルではディズニーランドまで車で送迎してくれるサービスもある。
実用的なサービスから、奇想天外なもの、その心配りに感激してしまうものまで、現在のラブホテルではさまざまなサービスが展開され、その魅力はどんどん高まってきている。
中でも、ユニークなサービスを、いくつか紹介したい。
【出張寿司職人サービス】
その名の通り、寿司職人がホテルに出張してお寿司を握ってくれるというサービス。カップルはロビーで、好きなネタを握ってもらい、お部屋で食べられるという、話のネタにもなるサービス。
【週末占いサービス】
これまた先ほどと同じく、プロの占い師さんが、週末だけホテルに出張して、カップルの行く末を占ってくれるというもの。結構人気のあるサービスで、部屋で待機しながら順番が回ってくるのを待っているカップルが後を経たないとか……。
【本格! イメクラサービス】
いまやラブホテルではコスプレ貸し出しは当たり前! (中には500種類のコスプレを貸し出しできるホテルもある) 女性のニーズを中心にサービスが展開されている現在は、セクシャルな仕掛けはあまり受けないということだが、コスプレは女性にも大人気だ。台本から小道具まで無料で貸し出しているホテルもある。
ラブホテルに老舗は存在しない。
ラブホテルには“古きよき”という言葉は意味を持たない。
常に新しくて面白いものを提供しなければいけない空間、それがラブホテルである。
そういう意味では(経営者は大変だが)、利用者にとっては、面白いサービスがこれからもどんどん提案されていくだろう。
(記者:金 益見)
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