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2008年07月14日(月) 17時57分

折り込みチラシに、大手紙のイジメを見たオーマイニュース

 自営業の私は、地元の大新聞にチラシを折り込んでいる。最近、その発注を通じ、同社の「殿様商売」による、下請け業者へのイジメともとれる横暴な実態を目の当たりにした。それは、われわれ広告主に対する情報開示が不透明なうえに、そこから生じるトラブルの後始末を下請けの業者に押しつけるというものだった。

■新聞社は部数しめさず

 まず、かんたんに新聞折り込みチラシのしくみを紹介しよう。新聞社と広告主のあいだには、代理店と印刷会社が立つ場合がある。この場合、われわれ広告主は印刷会社を通じ、代理店に折り込みを申し込むため、新聞社と直接の交渉はしない。印刷会社で制作したチラシを代理店経由で新聞社に納品、今度は新聞社が各販売所に必要部数を持ち込む。そこで紙面に折り込むわけだ。

 さて、各販売所が抱えている読者数(つまりチラシの必要部数)は、新聞社から直接われわれに提示されることはない。こちらが折り込む販売所と日時を指定して申し込むと、代理店が必要部数を教えてくれ、印刷会社がそれに合わせた部数を納品するだけだ。私はいつも「各販売所の部数を事前に教えてくれ」と頼んでその一覧表を送ってもらっているが、その表は、新聞社ではなく代理店が作ったものなのである。

 この部数は、むろん読者の増減によって常に移り変わる性質のものなはず。しかし、これまで部数の改定は年数回の申込時にだけ通知され、おおまかな変動しか分からなかった。

■客は読者

 それが今年7月、突然変わった。

 「本来、読者数は毎月変わるものです。今年からそれを毎月改定するようになりました」との説明のもと、新聞社は代理店を通じてチラシの増刷を求めてきたのである。

 実は私は6月にすでに7月分の折り込みも申し込み、6月時点の公称部数で印刷会社に刷ってもらった。刷った後で7月の部数改定が通知され、「部数が足りない」と言われたからさあ大変。不足分はたかが200部足らず。たった200部のためであっても、再び輪転機を動かしたら80万ほどの出費増となる。とうてい受け入れられない話だ。

 契約時点で部数増の可能性を説明しておかなかった新聞社に非がある、と思われるが、新聞社側の主張は違う。

・広告主と契約を結んだのは印刷会社であって、新聞社には何の責任もない

・販売所ごとの必要部数がそろわないと、販売所(ひいては読者)に迷惑がかかる

・新聞社のお客さんは、あくまで読者。広告主は客ではなく、「広告を載せてやっている」に過ぎない

 地元の独占企業で「殿様商売」なだけに、このような理屈がまかり通る。さらに新聞社は私に対し、不思議なことを言った。

 「増刷分をお宅が負担する必要はないんですよ」

 つまり、印刷会社と代理店に負担させようということである。新聞社は痛くもかゆくもないが、印刷会社の営業マンは電話で泣いている。

 理屈は正しいのかも知れないが、そもそも、昨年までは細かな部数変動を示さなかったのに今年から急に方針転換した新聞社が原因で起こった今回のトラブル。そのシワ寄せをすべて下請け業者に押しつけるとは、なんと立派な大企業であることか。

 私は広告主として、いくらでも強く言える。しかし「そっちの負担で増刷しろ!」と言うと、必ず印刷会社と代理店がかぶることになる。それはあまりに気の毒。なんとか今回だけは、足りない部数のまま販売所に持ち込んでもらえるよう、交渉中だ。

(記者:酒井 哲也)

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