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2008年07月14日(月) 12時46分

「情報の地産地消」は可能かオーマイニュース

 近年スローライフの一環として提唱されている「地産地消」。この「地産地消」を情報の世界に当てはめることは出来ないだろうか。

 識者がしばしば口にするように、インターネット時代の到来とともに情報が津波のように押し寄せてくる昨今。その功罪についてここでは述べない。ここで触れたいのは「マスメディアによって情報が一方的に配信されていた時代」の名残りが散見されることについてだ。

 具体的には「東京に特化した情報がいまだに巾を利かせ、地方の実情を映したコンテンツに乏しい」ことである。

 テレビ番組や雑誌の中身は相変わらず東京のレストランや洋品店、プレイスポットの紹介で占められている。

 角川書店の「Walker」各誌が中心となって「地元の美味しいレストラン」「地元の観光地」「地元のお洒落スポット」紹介に奮闘してはいるものの、それ以外の情報、つまりニュース性や商業性に欠ける情報、に関しては個人ブログによってかろうじてフォローされているにすぎない。

 もちろん個人による情報発信はそれはそれで意味のある活動ではあるが、第三者からのアクセス数に限界があるし、権威による保証にも乏しい。

 6月わたしはオーマイニュースに「ミナトヨコハマの『霧』はなぜ消えたのか」という記事を投稿し、掲載された。この記事はメジャーなメディアが取り上げづらいものの一つだったと思う。テーマに普遍性を持たせることで掲載に至ったと思うが、現状では地方都市の話題を書こうにもメディアがないのだ。

 他に考えられる例として「沖縄のビーチバレー熱」「九州の演劇の歴史」「大阪のゲイバーの変遷」「名古屋のバレエの歴史」「横浜の魚市場の実情」「仙台のロックバンド事情」「北海道の暴走族」などといった地方の文化のささやかな一断面がある。

 こうしたテーマは相当量の取材をこなして「単行本」という形を取るか、自分のホームページやブログに書くしかない。

 雑誌や大型サイトが地方の話題を取り上げるのは、なにがしかの事件性があるときに限られる。地方在住者が遠く離れた東京からの一方的な情報にさらされる機会は、まだまだ多いと思う。

 地方都市のトレンドを拾いあげるのは簡単ではない。全国の地域ニュースを扱う連合体「みんなの経済新聞ネットワーク」のようなあたらしいメディアも登場したが、「ニュース」や「観光情報」「新規出店」以外のネタを取り上げる機会はかなり少ないようである。東京以外の都市の情報が全くと言っていいほど入ってこないので、「日本の都会の平均像」を知るのは困難だ。

 その一方でニューヨークやパリ、ロンドンの話であれば取り上げてくれる媒体はいくらでもある。

 世界の大問題を知るのは大切だ。しかしときどき、「東京以外の日本を知りたい」とたまらなく感じるのだ。

 「旅をすればいい」という声も聞こえてきそうだが、よそ者がひと撫でしただけで掴めることはたかがしれている。

 私が夢見るのは「情報の地産地消」と「東京抜きで地方都市同士が直接つながれる」ことである。

(記者:檀原 照和)

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