記事登録
2008年07月12日(土) 19時44分

<布川事件>無期懲役確定の2人、再審開始は? 東京高裁毎日新聞

 茨城県利根町布川(ふかわ)で67年、大工の男性(当時62歳)が殺害され現金約11万円が奪われた「布川事件」の第2次再審請求で、東京高裁(門野博裁判長)は14日、強盗殺人罪で無期懲役が確定し、仮釈放された桜井昌司さん(61)と杉山卓男さん(61)の再審開始の可否を決定する。水戸地裁土浦支部が05年、「2人の自白は信用性に疑問がある」として再審開始を決定し、検察側が即時抗告していた。

 事件では指紋などの物的証拠がなく、自白の信用性や任意性が問題になった。地裁土浦支部は「自白内容は殺害方法と矛盾している上、著しく変遷している」として信用性を認めず、「有罪認定には合理的疑いがある」と指摘した。

 抗告審では、弁護側が(1)自白と遺体の客観的状況が矛盾する(2)自白の録音テープに13カ所の編集跡があり、不当に自白を誘導された−−などと主張し、検察側は「弁護側の証拠、主張には合理的な根拠がない」と反論した。

 決定を前に桜井さんは「自白を強要され、罪を着せられた。こんな捜査がまかり通っていいはずがない。負ける理由はどこにもない」と話した。杉山さんも「証拠だけ見れば無実は明らかと思うが、油断はしていない。長男を『殺人犯の息子』とは言わせたくない思いでいっぱい」と語った。

 2人は14日午前10時、東京高裁で弁護人らとともに決定書を受け取る。高裁が再審開始を支持すれば、弁護団は特別抗告を断念するよう東京高検に要請する。逆に再審開始決定が取り消されれば、最高裁へ特別抗告する方針だ。【山本将克】

【関連ニュース】
布川事件:東京高裁、14日に決定 再審決定への即時抗告 /茨城

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080712-00000076-mai-soci