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2008年07月12日(土) 00時20分

<皇太子さま>スペイン公式訪問を前に会見(3止)毎日新聞

 (2)皇太子さまは2004年のスペイン訪問後、文書で「いつの日か2人で訪れることができれば幸いです」と感想を述べられましたが、今回も残念ながら雅子さまの同行は見送られました。この結果に関する皇太子さま、雅子さまの率直なお気持ちをお聞かせください。また今回見送りが決まるまでのいきさつや背景、今後の海外訪問を含めた公務への復帰の見通しについても、改めてお聞かせください。

 今回、フアン・カルロス国王陛下およびスペイン国政府からのご招待をいただいたことを雅子も大変ありがたく思っており、お伺いできないことを本人はもとより、私も残念に思っております。外国訪問は日本と諸外国との相互理解と友好親善を増進する上でも大切なものであると考えておりますし、「いつの日か2人で訪れることができれば幸いです」との気持ちは今でも変わりません。同時に雅子は依然として病気治療中であり、外国訪問については移動距離、訪問期間、訪問中の行事などの観点から慎重な判断をする必要があります。今回の訪問についてもお医者さまとも相談の上で、総合的に判断して私一人で訪問することにいたしました。お招きいただいた国王陛下をはじめ、スペインの方々のご厚意にお応えできないことを申し訳なく思っておりますが、ご理解をいただきたく思います。雅子の公務への復帰についてのご質問ですが、これまでもできることを一つずつ積み重ねてきており、このような積み重ねで徐々に復帰していくことになると思います。雅子が周囲からの助けを得ながら、一生懸命努力を続けていることをご理解いただき、引き続き、長い目で温かく見守っていただきたくお願い致します。

 (3)この度、スペインにて行われる2008年サラゴサ国際博覧会の開催に関し、同国へご訪問されますが、今回の博覧会は、世界の水に関する現状と照らし合わせてどういう意義があると思われますか。また、日本で2005年に愛知国際博覧会が開催された折、スペインより皇太子、同妃両殿下が日本をご訪問されましたが、何か心に残るエピソードがございましたら教えていただきたいと存じます。

 水は人類の生存にとって欠かすことのできないものです。しかし、その現状は決して楽観視できるものではありません。これまでたびたび会見の折にも触れてきましたように、世界の人口の6分の1に当たる約11億人の人々が安全な水を利用できず、また、5分の2に当たる約26億人の人々が基本的な衛生施設を利用できないという深刻な状況を、私たちはまず認識し、何ができるか、何をしなければいけないのかを考えなければなりません。

 また、各地で渇水や水災害が頻発するなど気候変動や人口の急激な増加に伴い水問題が一層深刻化していることにも、きちんと目を向けることが必要だと考えています。

 ご承知のように今年は国際衛生年です。今なお大きな問題を抱える水と衛生の問題への取り組みと啓発が一層進められることが望まれます。こうした中で、先ほどもお話ししましたように、サラゴサ国際博覧会が愛・地球博によって示された新しい国際博覧会の理念を継承し、水と持続可能な開発をテーマに各国、各地域の知恵や技術を結集して開催されることには、大きな意義があるものと考えています。

 この博覧会が世界の人々が水とのかかわりを見つめ直す新たな機会となることを期待致します。

 フェリペ皇太子殿下ご夫妻とは、両殿下が愛・地球博をご視察になった際、東宮御所で夕食をご一緒したことは先ほどお話ししましたが、その時両殿下は前年の5月に結婚されたばかりで、日本館やスペイン館を一緒にご覧になった感想を楽しそうに話されておりました。

 いろいろとお話ができ、私たち2人にとっても楽しい一時でした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080712-00000004-mai-soci