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2008年07月12日(土) 03時12分

銀行・警察間に携帯ホットライン、振り込め詐欺237件阻止読売新聞

 振り込め詐欺の被害を防ぐため、東京都内96の警察署が金融機関との間で携帯電話を使った「ホットライン」を設けた結果、今年1〜5月の5か月間に237件の被害を寸前で防止できたことがわかった。

 通報を受けた警察官が現金自動預け払い機(ATM)に即座に駆けつけ、振り込もうとしていた人を説得したケースも多い。

 警察庁は急増する振り込め詐欺の被害を食い止めるには、ATMでの対策を強化することが最大のポイントと位置づけ、全国の警察に同様のホットラインを設置するよう求める方針。

 警視庁は昨年5月、島部を除く都内の96署の生活安全課に、管轄内の銀行や信金、信組などの店舗と直接連絡が取れるよう専用の携帯電話を導入するよう指示、同9月までに全署に配備された。

 振り込め詐欺のうち被害が目立っているのは、「払いすぎた税金を返す」などと偽り、携帯電話で話しながらATMを操作させ、送金させる「還付金詐欺」。

 金融機関では、ATMコーナーで携帯電話をしている高齢者などを見つけた場合、振り込まないよう説得し、説得できない時は警察に通報しているが、一般の固定電話では、担当の警察官と連絡がつくまで時間がかかり、手遅れになるケースが多かった。

 携帯電話を使ったホットラインは、通報から警察官の対応までの時間を短縮するのが狙い。警察官が携帯電話で状況を聞きながら現場に向かえるメリットのほか、金融機関も、日ごろ連絡を取り合っている警察官に直接つながることで相談を持ちかけやすくなった。

 このため金融機関の通報で未然に被害を防いだのは昨年の177件に対し、今年は1〜5月だけで237件に上った。多くは、ATMに急行した警察官が被害者を説得して振り込みをやめさせたケースだった。

 また5月に新宿区内の信用金庫が通報したケースでは、新宿署員がATMに到着すると同区内の女性(71)が100万円を振り込んだ後だったため、署員がその場で振込先の金融機関に口座の凍結手続きを取り、被害金を取り戻すことに成功している。新宿はコンビニも 新宿署ではコンビニとの間でもホットラインを設けており、先月11日にはコンビニからの通報でATMで49万円を振り込んでしまった女性(62)を発見、その場で口座凍結の手続きを行うことができた。

 警視庁幹部は「詐欺グループは現金が振り込まれた直後に口座から引き出すケースがほとんどで、口座凍結もスピードが命。ホットラインは非常に役立っている」と話している。

 ◆被害、今年は最悪のペース◆

 振り込め詐欺の被害は2004年をピークに減少していたが、昨年末に被害額が月25億円を超え、今年1〜5月の被害額は前年の1.6倍の約137億4500万円と過去最悪のペースになっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080711-00000059-yom-soci