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2008年07月11日(金) 23時00分

<アスベスト>強毒3種 学校545施設で使用判明毎日新聞

 文部科学省は11日、全国の国公私立学校や文化会館など545施設にトレモライトなど3種類のアスベスト(石綿)が使用されていたと発表した。国内では悪性中皮腫など発がん性のある白石綿と、より毒性が強い茶石綿、青石綿の使用が知られており、トレモライトなどは国内で使用されていないとされてきたため調査が進んでいなかった。全国1万7111施設については、再調査を実施する。

 同省によると、過去のアスベスト調査では、全国14万5156施設のうち、国公私立学校など2万4724施設はアスベストを含有していないと判定されていた。しかし、今年2月、茶石綿、青石綿と同様に強毒のトレモライトが東京、新潟などで検出されたため、過去の調査状況を再点検した。

 その結果、アスベストを含有していないと判定されていた施設のうち、1万7656施設については、トレモライトのほか、アクチノライト、アンソフィライトの計3種類について検査していなかったことが判明。さらに、過去に実施したX線による解析データを基に、この3種類の使用状況を分析したところ、545施設は含有していると判定された。

 545施設の内訳は、▽公立学校(幼稚園、小中高校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、大学)245▽私立学校(幼稚園、小中高校、大学など)89▽公立社会体育施設83▽公立社会教育施設81▽文化会館など公立文化施設29▽教育研修センターなど公立学校関係施設18−−だった。粉じんの飛散による吸引の恐れがあるかについては、詳しい調査を行い、年内にも結果をまとめる。

 一方、トレモライトなど3種類について未調査で、過去の調査からも含有状況が不明な1万7111施設(公立学校1万327、私立学校1584、国立学校70など)は、再調査を実施する。同省施設企画課は「児童生徒の安全、健康にかかわる問題であり、各設置者は万全を期してほしい。建物に損傷などがある場合は特に早急な分析が必要」と、自治体に対応を求めている。【加藤隆寛】

 ◇流通経路公表を

 中皮腫・じん肺・アスベストセンター(東京都江東区)の永倉冬史事務局長の話 従来使われていないとされたトレモライトなどが500以上の施設で出てきたとは驚きだ。文部科学省も今後は信頼できる調査手法を確立して計画的な調査を指示すべきだ。業界に権限のある経済産業省は流通経路や量などを調べて公表すべきだ。

 【ことば】アスベスト(石綿)

 耐火用の被覆材で、建材に吹き付けられていた。粉じんを吸い込むと悪性の中皮腫など健康障害を起こす。6種類が知られ、白石綿、青石綿、茶石綿の3種類が主に国内で使用されてきた。今回問題となった新たな3種類のうち、トレモライトとアクチノライトは、青石綿などと結晶構造が同じで毒性も同様に強いとされ、アンソフィライトも発がん性があるとされる。

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