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2008年07月11日(金) 15時25分

【下関通り魔殺人】最高裁、上告棄却 上部被告の死刑確定へ産経新聞

 山口県下関市のJR下関駅で平成11年、5人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、殺人などの罪に問われた上部康明被告(44)の上告審判決が11日、最高裁第2小法廷であった。今井功裁判長は「何一つ落ち度のない駅利用者らを襲った犯行は極めて悪質」として、上部被告側の上告を棄却した。上部被告を死刑とした1、2審判決が確定する。
 上部被告は対人恐怖症に悩んでおり、弁護側は「被告は犯行時、妄想に支配されて行動制御能力を失っていた」などと主張していた。
 これに対し、今井裁判長は「記録を調査しても、被告が犯行当時、心神喪失、心神耗弱ではなかったとした高裁の判断は相当だと認められる」と述べ、弁護側の主張を退けた。
 その上で、「将来に失望して自暴自棄になり、自分をそのような状況に陥れたのは社会のせいなどとして、社会などに衝撃を与えるために多数を道連れにする無差別大量殺人を企てた」と指摘。「動機に酌量の余地は見いだし得ず、犯行態様も残虐、非道というほかない」と述べ、1、2審の死刑判決を追認した。
 判決によると、上部被告は11年9月29日夕、JR下関駅付近の歩道や駅コンコースに乗用車を乗り入れ、通行人ら7人を相次いではねて2人を殺害、5人に重軽傷を負わせた。さらに、乗用車から降りた上部被告は包丁で駅にいた乗降客ら8人を次々に刺して3人を殺害、5人を殺害しようとした。
 上部被告は、大学を卒業後、1級建築士の資格を取り開業したが失敗。新たに始めた運送業も、台風でトラックが壊れてしまい意欲を失った。さらに、妻に離婚を切り出され、犯行前には、「自分は世間から不当に冷遇されてきた」などと思い込んでいた。

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