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2008年07月11日(金) 15時16分

下関駅通り魔事件・上部被告の死刑確定…最高裁が上告棄却読売新聞

 山口県下関市のJR下関駅で1999年、5人が殺害され、10人が重軽傷を負った通り魔事件で、殺人罪などに問われた運送業、上部康明被告(44)の上告審判決が11日、最高裁第2小法廷であった。

 今井功裁判長は「落ち度のない通行人らを無差別に襲った犯行は極めて悪質で酌量の余地はない」と述べ、上部被告の上告を棄却した。

 上部被告を死刑とした1、2審判決が確定する。

 判決は、犯行動機について「将来に失望して自暴自棄となり、自殺を考えたが、自分をそのような状態に陥れた社会や両親らに衝撃を与えるため、多数の人を道連れにする無差別大量殺人を企てた」と認定。

 その上で、「通り魔的な大量殺人事件として社会に与えた衝撃は大きく、被告が対人恐怖症に悩んできたことなどを考慮しても死刑とせざるを得ない」と述べた。

 上告審でも1、2審と同様、上部被告の刑事責任能力が争点となり、弁護側が「犯行時、被告は社会から迫害されているという妄想に支配され、心神喪失の状態だった」と責任能力を否定したのに対し、最高裁は無罪となる心神喪失や刑が軽くなる心神耗弱の状態ではなかったとした。

 上部被告の精神鑑定は1審・山口地裁下関支部で2度に渡って行われ、最初の鑑定は「社会を敵とみなす妄想に基づく犯行」で心神耗弱状態だったとしたが、2度目では完全な責任能力があったと判断していた。

 続く2審・広島高裁でも新たに鑑定が行われ、完全責任能力が認められていた。

 判決によると、上部被告は99年9月、JR下関駅にレンタカーで突っ込み、7人の通行人をはねた後、車から降りて8人に包丁で襲いかかり15人を殺傷した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080711-00000030-yom-soci