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2008年07月11日(金) 12時09分

山本モナ不倫報道でニュースを見る目を養おうツカサネット新聞

タレントの山本モナと巨人軍の二岡智宏選手との不倫報道について、個人的にはあまり関心がない。

山本モナについては、大切な報道番組キャスター就任一日目の夜にこのようなスキャンダルで多くの関係者に迷惑をかけてしまっただろう。物事にはTPOがある。自由恋愛を謳歌したければ、今後はバラエティに専念したほうがいい。最初の降板事件のあと、長きにわたって築きあげてきたタレントとしての信用、人気(特に女性人気)を今回の件で失っていなければ、の話だが。その前にタレント活動に復帰せねばなるまいが、それは時間が解決するだろう。

二岡選手は、妻子ある身のうえ現時点で二軍暮らし。悪戦苦闘している一軍選手を横目に朝4時までカラオケに興じていただけで厳罰対象になりそうなものなのに、このようなスキャンダル、である。若手のホープ、坂本選手に奪われたレギュラーポジションを奪回することは極めて難しくなったのと同時に、今期中にそれが達成できなければシーズンオフには放出の憂き目に遭うことだって予想される。

ただまぁ、それはそれぞれで反省してもらうしかない。不倫なんて、している人は大勢いるし、彼と彼女は運、というかタイミングがそれぞれ悪すぎたと言うしかない。


ちょっと見逃せないのは、このような報道である。

「不倫騒動山本モナ 番組降板しテレビ出演も自粛」(J-CASTニュース)
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タレントの山本モナさん(32)に再び不倫疑惑が浮上し、その「性癖」がクローズアップされている。週刊誌に狙われることは分かっていたにもかかわらず、また「問題行動」を起こし、番組降板が決まった。(以下略)
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私はこのニュースをポータルサイト、エキサイトのトップニュースで見た。エキサイトトップページに掲げられた見出しは「不倫騒動山本モナ 番組降板決まる」である。

その時点で私はいくつかのサイトでこのニュースを目にしていた。ただ、私が見ていたニュースではすべて「謹慎」「番組出演見合わせ」と報じられていた。同じくポータルサイトのヤフーに配信されていた、時事通信(10日21時14分配信)、オリコン(10日23時9分配信)、毎日新聞(10日22時20分配信)ではいずれも「謹慎」「見合わせ」という表現が使われており、「降板」とは一切報道されていない。

だから、エキサイトのトップページでこの見出しを見たときは、お、ついに降板決定か、と思った。当たり前の話だが「出演見合わせ」と「降板」は言葉の意味が違う。ちなみに上記のJ-CASTニュースが配信されたのは10日 20時59分。時事通信、オリコン、毎日新聞よりも早く配信されたうえ、そのいずれも報道できなかった「降板決定」をスクープしていることになる。

だが不思議なことに、この記事を読み続けても「降板」という文字は一度しか出てこない。

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再びの失態に、モナさんが所属するオフィス北野の森昌行社長は10日夜、J-CASTニュースの取材に対し、FAXを通じて回答。「キャスターという重責を預かった立場にはふさわしくない、自覚に欠けた行動」として、次回からの「サキヨミ」出演を当分見合わせることを明らかにした。また、すべてのテレビ出演なども当分見合わせ、本人には当分謹慎するように命じたとしている。
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ここでは「出演を当分見合わせる」「謹慎」と書かれている。これではほかのサイトで報じられている内容と同じである。

たとえば、「出演見合わせ」や「謹慎」をこの記者、そしてJ-CASTニュース側が“事実上の降板”と解釈しているのなら話はわかる。ならば、そう書くべきであろう。しかし、そのようなことはどこにも書かれておらず、見出しと記事の冒頭で「降板決定」と断言している。私が些細な表現にこだわっているように感じられる読者もいるかと思うが、事実を伝える報道メディアとして、このような誤表記には細心の注意を払わねばならないはずである。降板が決定したわけでもないのに、勝手に「降板決定」と報じて読者の目を引き、アクセス数を稼ぐ。これではまるでオオカミ少年だ。

ご存知の方がどれだけいるかわからないが、エキサイトやヤフーにニュースを配信しているこのJ-CASTニュースのサイトを見ると、このようなことが書かれている。

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速報を特徴とする新聞・テレビの「1次情報」と、独自の視点で記事をまとめる「2次情報」の両方の良い点を取り入れた「1.5次情報」を配信します。特に、Web上の情報や日々のニュースを、他から違った切り口から見る「メディアウォッチ」に力を入れます。
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新聞や週刊誌などの既存メディアは、記者が直接取材し、そこで得た情報を記事にする。これが「1次情報」である。しかし、このJ-CASTニュースはそうではないと自ら宣言しているのだ。なるほど、たしかにJ-CASTニュースはどこぞで誰かのブログが「炎上」したとか、2ちゃんねるでこんなことが話題になっている、などというネット関連の記事が多い。他メディアで報じられているニュース(=1次情報)をウォッチしてそれを加工し、1.5次情報として配信する。それなら、「降板」という事実関係にまつわるスクープが飛び出すはずもない。ならば、この記事で「降板」という文字が使われてしまったのは、わざと印象の強い「降板」という表現を使って読者の目を引こうとしたか、この記事を書いた記者が言葉の意味にあまりに無見識であり無自覚だったか、どちらかである。

ちなみに、この記事は山本モナがセックス依存症ではないかと疑い、それについて専門家の精神科医に取材しているが、精神科医はその疑いをきっぱりと否定している。とんだマッチポンプだ。記者は「今後、モナさんがどうなるかは分からないが、依存症とは言えないようだ」と余計なことまで書いている。確かに「どうなるかは分からない」が、そんなことをいちいちここで書く必要があるだろうか? まるで山本モナがセックス依存症ならいいのに、と言わんばかりの書き方である。

ネットニュースによって情報を得ることが多い人が増加した昨今、そのニュースを見る目、読む力を養うことが、我々現代人にとって急務である。そのことを今回の山本モナ不倫報道で学んだ次第だ。


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(記者:ポポちゃん)

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