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2008年07月11日(金) 13時57分

サミット後の環境系イベントはどうなるのか?オーマイニュース

 七夕から始まるサミットを控えた7月5日と6日、北海道全道で行われるキャンドルナイトの前夜祭的イベントにホスト側として参加した。市内の商業施設において、環境展を開催し、大人にも子供にも、環境の事を考えてもらおうというイベントだった。

■5日、市内環境スポットのバスツアー

 市の担当者から5月の末、七夕の週の土日に環境イベントを開催するという事で、アイデアを求められた。バスで市内にある、生活に密着した、誰もが知っているけどあまり足を運ばないような、環境に関連のある場所を巡ると、体感的に環境を意識させられるからと、バスツアーを発案し採択された。

 時間的にかなりキツい。計画、根回しと、広報、募集を同時に進めなければ行けない。そこで、どこに行くのか公開しない、ミステリーツアーを提案し決定した。

 浄水場 →廃棄物処理施設→農業と産業の歴史を知る施設→自然体験施設という工程で、ほとんどが市の管理にある場所なので、見学プログラムが既にある。対象は小学生の親子に決まった。

 参加者にとって、やや、堅苦しい内容だったかもしれない。けれども、保護者の方が子供のころの社会科見学を思い出したかのように、熱心に説明に耳を傾けてくれていた。自ら環境イベントに参加する人たちの意識は、かなり高いと感じた。

 生きていくために必要な水、生きていくと出さざるを得ないゴミ、自分たちの祖先が開いた農業と産業に見える環境への配慮と暴挙、自然の中で遊ぶ子供たちの笑顔、それを体感してもらう事が私の望みでもあった。

 説教臭くなるので言えなかったが、「日本は水に恵まれている事」「ゴミは文明の産物であり、“環境破壊”と“快適な生活”の矛盾である事」「農業から原料を産む産業は環境と大きくかかわりを持つ事」「自然と触れ合う事こそが、環境保全と持続を体で感じるために効果のある手段である事」を伝えられたと自負した。

■6日、体験屋台「クワガタ飼育教室」&スギナ茶の焙煎(ばいせん)

 2日目は「体験屋台」を打診された。環境教育という命題において、趣味とライフワークであるこのふたつしかなかった。

 クワガタを飼育、繁殖させるという事は、疑似環境を作る事である。自然を人の手で再現できる可能性と、保全には手間と労力が要る事実を知る上で最適である。森の生態系を学ぶ事が、本来の自然保護のありかたを考えるキッカケになる。

 スギナでお茶を作る事は、買えば簡単に手に入るが、嗜好(しこう)品であり健康補助飲料でもあるお茶を、時間と手間をかける事でゆっくりした暮らしを考えるキッカケになる。また、厄介者、使えないものを活用する事が、環境を考える上でのキーワードになる。

■自分の体験屋台は失敗と判断した

 他体験的ブースでは、間伐材や木の葉、小枝を利用したクラフト体験は人気が高かった。作成したクラフトは来るべき夏休みの宿題として、学校に提出されるのだろう。私の出展は、わかりくさ、ニーズの低さで集客力が弱かった。

 ただ、企画だけに問題があるわけではないような気もする。

 地産地消のブースも設置されていた。輸送CO2コストの軽減と、客寄せの目的もある物産展であるが、そこはにぎわっていた。物産展だけを見て、環境展示を見ず帰った人は、全体の7割以上に見えた。環境展示のほかのブースは、「燃料電池」「ソーラーカー」「天婦羅油ヂーゼル」など、私も興味をそそられるものだったにも関わらずである。

 私のブースであったスギナ茶の焙煎は、体験をしてくれた人は少なかったが、試飲は人気だった。無視して通り過ぎようとする人に「疲れが取れますよ」と言うと、わざわざ戻って受け取ってくれた。感想を聞こうとすると、そそくさと去る。紙コップを捨てにまた戻って来るがやはり無言。本当に疲れていたように見えた。

■市民意識と環境啓発手法

 印象として、一般市民の環境意識は高くはないと感じた。

 キャンドルナイト、募金、植樹などは、意識向上のキッカケにはなるであろう。サミットが「環境」というテーマで開催された意義を持たせるためにも、行政の方には、サミット終了後もこういうイベントを根気よく展開してもらいたい。生活を見直し、自然と触れ合う事が、環境保全に必要だと強く思う。

 数年後、「2008年はなぜか、エコエコCO2と大騒ぎしたよね」などという思い出話になって欲しくない。「あのサミットがあったから今がある」と、今の子供たちに語ってもらいたい。

(記者:大筑 麻人)

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