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2008年07月11日(金) 11時16分

パリの女1人旅、不安だけれどやめられないオーマイニュース

 もう、2年前のことになってしまったかと、時間のたつのがとても早く思える。自分としては頑張って、ボローニャ2週間、パリ2週間、という旅を2006年の6月にした。

 ボローニャは、都会とはいえ、落ち着いた文化都市。人々ものんびりとしていてフラッと立ち寄ったバール(軽食をとれるところ)でも、言葉がわからないなりに楽しく過ごすことができた。特に困ったこともなく、道を聞いても一生懸命、教えてくれた。

 ところが、である。パリに移ってからは毎日が緊張の連続だった。パリの初日からして大変だった。安いと思って地理的にもまったく不案内の、「モンマルトル地区」の宿を、日本でインターネット予約していったのだが、坂の多いこの地区では、ホテルの入り口から「階段」があった。

 タクシーから降りて入り口まで重いスーツケースをゴロゴロところがしていって、「あっ!」と思ったら延々と続く「階段」である。平たんなところであれば、そのままフロントに行き、部屋までエレベーターで行けるはずであった。これはもう、予備知識のなさを思い知らされた。

 そんなこんなで、「まずは一服しなければ」と思い、近くのカフェを探した。坂の途中に、大型テレビが店内で“ワールドサッカー”を放映している店があった。まずは冷たい飲み物を、と思い注文した。そこでテレビを見ながらゆっくりと飲んで、さて帰ろうと思い、カウンターに代金を置いた。「では!」と言って、立ち去ろうとしたら、お店の人が「お客さん、代金払って!」ときた。「えっ? さっき払ったじゃない……」。私はちゃんと払いました。と言い張って出てきたが、最後まで店員はうたぐりぶかい目をしていた。

 考えるに、カウンターにお金を置いたあと、ちゃんと店員が受け取るまで見届けなかったのがいけなかった。たぶん、そばの客がちゃっかり、自分のポケットに入れたものと思われる。

 こんなこともあった。カメラをぶら下げて写真を撮っていたら、やけに“なれなれしく”口をかける人がいた。「あなたの、そのカメラすばらしいですね!」とか言って、「コーヒーを飲みに行きましょう」などと、誘いかける。彼は英語で話しかけてきたので、「わたし、えいご、わかりませーん!」とか言って逃げてきた。まったく、油断もすきもない。

 ボローニャではのんびり気分だったのに、パリでは初日から危なっかしい。かといって、ホテルにこもるのももったいないし、これは自分で気をつけるしかないな〜と思い、できるだけ荷物を少なくし、小銭はすぐ出るようにし、出掛ける前に地下鉄やバスの経路をチェックして、“おのぼりさん”ぽく見えないように気をつけた。

 ほかにも、言葉がわからないために勘定をごまかされたり、惣菜(そうざい)を買うときに、ちゃんと並んでいたのに「最後」にまわされたり、と日本だったらすぐ文句を言えるのにくやしい思いをしたことがいくつかあった。

 “ツアー”であれば、「添乗員」さんが、あれこれ注意してくれるが、「1人旅」特に「女性の」1人旅にはいろいろなトラブルや事故がつきまとうことが多い。できれば男性がひとり同行してくれると安心なのであるが、あいにくそれもできなかった。そんな中でひとつ気をつけたのは、「華美なかっこうをしない」や、「暗い道をひとりで歩かない」などで、なにも外国でなくとも、都会であればどこでも通用する自衛手段だと思う。

 事故さえなければ、それなりに楽しい旅だった。だから“1人旅”はやめられない。

(記者:工藤 和江)

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