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2008年07月09日(水) 02時19分

パナソニック 社名変え世界ブランド目指す松下電器毎日新聞

 「今より強く輝くブランドを築く」。松下電器産業は6月26日の株主総会で、10月からパナソニックに社名を変えることを決め、大坪文雄社長がこう宣言した。冷蔵庫、洗濯機など国内の白物家電のブランド名「ナショナル」も09年度中に廃止し、薄型テレビなどAV(音響・映像)製品と同じパナソニックに統一する。創業以来の「松下」を外すことにためらいもあったが、世界に通用するブランドに成長する戦略だ。【上田宏明、宮崎泰宏、新宮達】

 03年に海外ブランドをパナソニックに統一したが、国内ではナショナルが残り、社名の松下と合わせて三つの呼称が併存し、海外でブランドイメージの分散を招いていた。松下の海外売上高比率は約5割。ライバルのソニーが7割超、韓国のサムスン電子は8割あり、海外での存在感向上が大きな課題だ。

 昨年6月、国内シェアトップの松下の白物家電を、欧州に本格投入するプロジェクトが動き出した。日本でヒットした「ななめドラム洗濯乾燥機」も、欧州は気候や習慣が違い、独シーメンスなど地元商品もあって食い込めていない。「松下には省エネや節水など欧州メーカーにはない技術がある。環境意識が高まっている今ならいける」と準備が始まった。

 大坪社長は、昨年10月にもう一つのプロジェクトをスタートさせた。大阪府門真市の本社で十数人を極秘に集めた。テーマは「社名変更とブランド統一」だった。二つの議論を通し、大坪社長は「白物家電も国内のナショナルの地位に安住していてはならない」という結論に向かった。今年1月、社名変更と09年2月の欧州白物家電本格販売の方針が同時に発表された。

 AV製品も、国内こそ薄型テレビで07年に21%のシェアを誇るが、世界では9%にすぎず、韓国・サムスン電子の19%やソニーの14%に水をあけられている。松下は08年3月期に9兆689億円だった連結売上高を10年3月期に10兆円にする目標を掲げているが、グローバルブランドに脱皮できなければ、この先の戦略は描けない。

 一方、「松下」「ナショナル」の名が消えることに、「国内販売をないがしろにしていないか」などと、系列販売店に割り切れない思いものぞく。系列店は約1万8000店。家電量販店の進出や後継者不足などでピーク(80年)の7割弱に減ったとはいえ、2位の日立製作所の3.6倍の販売網だ。来年9月末までにすべての店の看板をパナソニックに一新するため、今後、営業担当の社員が1軒ずつ説明に回る。

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