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2008年07月09日(水) 19時31分

市の担当課に聞いた、生活保護事情の平等ぶりオーマイニュース

 広島市の元暴力団組員の生活保護受給について、広島市健康福祉局健康福祉企画課の保護担当課長にメールで聞いてみた。

 それによると広島市の生活保護受給者は2007年度、1万8543人。そのうち元暴力団関係者(右翼を含む)は86人。

 元暴力団関係者については福祉事務所で実態を把握することが困難なため、面接をして生活状況を十分に聴き取り、その中で暴力団とのつながりが疑われる場合には、警察に確認をしているという。

 要するに、面接で疑われない場合や、警察が把握していない場合、一般人として申請が通る可能性も否定できない(福祉事務所の職員が脅される場合もある)。また、暴力団組織と口裏を合わせ、元暴力団組員になっている可能性もある。

 「もし元暴力団組員に生活保護を受けさせるのなら、隔離施設に10年ぐらい一旦隔離して、完全に暴力団組織と縁を断ち切った上で生活保護をするべきだと思います」

 私はこう提案した。するとこんな返事だった。

 「生活保護制度は、憲法第25条の生存権の保障を具現化するための制度で、人種、身上、性別、社会的身分及び門地等に関係なく無差別平等に適用すべきものとされています。そのため、元暴力団組員であっても、真に生活に困窮し能力活用などの保護の要件に該当する場合は、生活保護の適用から除外することができないことになっています。隔離施設については、国全体の制度となると思いますが、生活保護の制度としては、検討をされていません」

 これは、法律を守り、ワーキングプアにも文句を言わずに生きている一般人と、非合法な活動をし、場合によっては市民に迷惑をかけて生きてきた元暴力団組員が同じように扱われるということだ。「無差別平等」というより、「悪平等」ではないだろうか。

 これでは国民は法律を守ることが馬鹿らしくなり、こんな元暴力団組員や公務員に税金が使われることに怒りを感じるのではないだろうか?

 何度かメールをやり取りしたなかでよく指摘していたのは、次のようなことだった。

 「収入、資産、能力その他あらゆるものを最低生活の維持のために活用し、さらに民法上の扶養義務や他法他施策を優先して活用し、それでもなお、最低生活が維持できない場合に生活保護をする」

 要するに、全財産をはたいたうえ、頼れる親族などを探してもみつからず、社会復帰できない状態になった時、生活保護を受けられるということだ。これは非合法活動をしてきた元暴力団組員にとって、ピッタリの条件かもしれない。

 ちなみに「生活保護の受給が終了した方の、その後の生活について調査をしていないので、わかりません」とのことだった。

(記者:昿野 洋一)

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