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2008年07月09日(水) 10時00分

外国人看護師の受け入れ条件はハードルが高すぎオーマイニュース

 EPA条約により、8月にインドネシアから看護師・介護士が来日することになった。だが、そこには大きな壁がある。それは受け入れ条件の問題である。

【看護師受け入れ条件】

(1)母国において、看護師資格を取得していること

(2)2年以上勤務経験があること

(3)入国してすぐに6カ月間の日本語教育を、厚生労働省の外郭団体である国際厚生事業団の指定を受けた者が行う事になっている

(4)日本に来て3年間以内に日本の看護師試験に合格をすること

(5)受け入れ希望の病院は、1人につき、60万円を国際厚生事業団に支払わなければならない

 (1)の条件は、当然であろうと思う。(2)も知識が求められることであり、仕方がないのかもしれない。しかし、(3)が問題だと記者は思う。この6カ月におよぶ日本語教育の期間、研修生の住まい、食事、給与はどうするのだろうか。まだ具体的に明示されていない。

 そして、(4)が一番の問題だと思う。日本に来て3年間は、看護助手という立場しか許されない。病院勤務でも、あくまで看護助手であり、医療行為など一切できないのである。当然のこと、7対1の看護師配置条件にもカウントされないため、医療報酬の対象にならない。病院としては、単に看護のお手伝いさんとしてしか見ることができない。

 さらに難問は、3年間に亘り、病院での日本語教育と、看護師試験のための指導をしなければならない。誰が教えるのか、インドネシア語の話せる職員は手配できるのか、病院の負担も大きいものとなる。

 その間、給与はもちろん、ボーナス、社会保険負担分、住居の確保など、すべて病院に押し付けられる形となってしまう。そして3年間で看護師試験に合格しなければ、強制的に帰国させられてしまうのだ。果たして3年間で日本語を覚え、難しい医療知識や医療用語を本当に覚えることができるのであろうか。

 また、「不合格なら帰りなさい」と本当に言いきれるであろうか。もちろん、受け入れ病院の指導次第であろうが、疑問が残る。

 日本人では、小学校から中学、高校を経て、看護大学や看護士養成学校で3年間勉強した人が看護師試験を受ける。その合格率は87%だ。日本人でさえ、 13%の人たちが不合格になる試験に、学校も行かず、病院で看護助手として働きながら合格を目指さなければならないという条件はあまりにも酷ではないのか。

 努力して合格できる人もいるだろう。しかし、果たしてどれくらいの割合で合格できるのか。

 厚生労働省の見解は、あくまで看護師は不足していないとしている。

 EPA条約だから仕方がない。日本で働きたいのなら従えとの立場である。

 これに反発してフィリピン上院議会がいまだ条約を締結していない。こんなことをしていたら、いざという時に外国からの看護師・介護士など来てくれなくなるのではないかと心配である。

(記者:梅沢 清志)

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