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2008年07月09日(水) 12時00分

僕らが「ふるさと納税」するメリットとデメリットって?R25

生まれ育った出身地などの自治体に寄付金を支払うと、その額に応じて個人住民税などの税金が軽減される「ふるさと納税」が、2008年4月からスタートした。

そもそもは、都市部と地方の税収格差を是正する方策として採用されたこの制度。大人になって生まれた土地を離れた人も、かつてはその地域の税金で教育を受けていたわけで、そんな故郷へ“恩返し”ができるチャンスでもある。が、一方で「納税」と言いつつ寄付金だったり、「ふるさと」に限らず全国どこの自治体にでも寄付できたりと、何かと分かりづらい点も多い。

特に複雑なのが、寄付金額に対する住民税と所得税の控除額の計算方式だ。自治体の公式サイトなどで解説されているが、数字に弱い筆者はさっぱり理解できない。結局、「ふるさと納税」で僕らが支払う税金は増えるの? 減るの? 個人の納税に詳しい大手町会計事務所の大黒崇徳さんに聞いてみた。

「ふるさと納税による税金の控除額は、個人の所得や家族構成などに応じて変動するため、“いくら寄付すると、税金がいくら安くなるか”を把握するのが難しいんです。結論から言うと、寄付をすることで税金そのものは安くなりますが、寄付金の負担額を考慮すると、寄付金額より節税メリットの方が多くなることはありません」

つまり、トータルでは支出が増えるわけですか…。

「ただ、仮に年収500万円の独身サラリーマン(住民税25万円)のケースを考えてみると、5000円を寄付した場合の節税効果は0円で、全額が自己負担となります。しかし、同じ人物が3万円を寄付すると、住民税と所得税で合計2万5000円の節税効果が発生し、実質負担は同じ5000円で済むんです。控除額には上限がありますが、この人物は5000円の実質負担で、最大3万6250円まで寄付できる計算になります」

どうせなら、節税効果が最大になる金額を寄付した方がお得な気がしますね。

「注意点は、実際に節税効果を得るためには、年度末に税務署で確定申告をする必要があること。サラリーマンの方は会社で年末調整を受けるのが普通ですから、より簡便な方法が採用されない限り、多くの人が気軽に寄付するのは難しいかもしれません」

上手に使えば、一定の自己負担額でより多くのお金を自治体に寄付できる「ふるさと納税」。特別な思い入れのある地方を応援したい人は、活用してみるのもいいかも。
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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