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2008年07月09日(水) 17時16分

「自助努力は限界」 県内30漁協が一斉休漁(和歌山)紀伊民報

 県漁業協同組合連合会に加盟している全30漁協(正組合員約4700人、準組合員約5700人、約6000隻)は9日までに、全国の主要漁業団体が15日に予定している全国一斉休漁に参加する方針を決めた。燃油高騰による漁業の窮状を訴える。各漁協は「燃油高騰で漁業は大打撃を受けている。政府や国民に理解してほしい」と訴えている。
 一斉休漁は、全国漁業協同組合連合会や大日本水産会などが呼び掛けた。漁船の燃油高騰で漁業経営が追い込まれていることを訴え、国に燃料費の補てんなどを求めることが目的。全国のほとんどの漁船約20万隻が参加するとみられている。
 6月18、19日には「全国いか釣漁業協議会」の呼び掛けで、全国20道府県の小型イカ釣り漁船約3000隻が休漁したが、県内では該当する漁船がなかったので参加しなかった。
 田辺市、白浜町、すさみ町に本所と4支所がある和歌山南漁協は正組合員約540人、準組合員約400人、約780隻。現在は主にアジやサバ、イサキ、タチウオ、スルメイカの漁期を迎えている。
 同漁協によると、出漁しても利益が薄いか、経費が売り上げを上回って赤字になるため、漁獲量が見込めないときは休む人や遠くの漁場に出るのを見合わせる人も多くなっているという。前地常生参事は「燃油高騰は漁師の生活に直結するので厳しい。船の速度を緩めて燃費効率を上げるくらいしか対策はなく、自助努力は限界に来ている」と話している。
 串本町と那智勝浦町の10漁協で4月に発足した県内最大の和歌山東漁協(本所=串本町、正組合員805人、準組合員1821人)や、御坊日高地方の7漁協で昨年4月に発足した紀州日高漁協(正組合員748人、準組合員1217人)も、休漁について組合員の賛同を得た。紀州日高漁協の戸根宣幸参事は「燃油が上がり、水揚げ量は減り、魚価は上がらない。経費の上昇分を魚価に上乗せするわけにはいかず、組合員は困っている」と話す。
 県漁連によると、各漁協に卸している漁船の燃料のA重油と軽油は7月現在、1リットル当たり約120円で、4年前の約3倍になった。

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