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2008年07月08日(火) 15時54分

飛騨牛偽装で家宅捜索 丸明本社など、虚偽表示疑い産経新聞

 岐阜県養老町の食肉卸販売業「丸明(まるあき)」(吉田明一社長)が基準に満たない肉をブランド和牛の「飛騨牛」と偽装表示して販売した疑いが強まり、岐阜県警生活環境課などは8日午前、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで同社本社と直営店、社長の自宅など十数カ所を家宅捜索した。

 岐阜県警は、経営トップの指示で一定期間続けられた疑いがある偽装の全容解明には強制捜査が不可欠と判断。吉田社長ら関係者を事情聴取するとともに押収資料を分析し、不正の経緯や仕組みの解明を進める。

 調べでは、丸明は認定基準に満たない2等級の牛肉を、飛騨牛と認定される3等級として販売するなど表示を偽装した疑いが持たれている。

 吉田社長は6月の一連の問題発覚後、偽装への関与を否定していたが、同月26日の記者会見で、こうした偽装を自らの指示で行ったことを認めた。

 一方、岐阜県と農林水産省が日本農林規格(JAS)法などに基づき、丸明を立ち入り調査し、店頭の牛肉の産地や生産日報などを分析。DNA鑑定の結果、「飛騨牛」として販売した牛肉の一部が認定基準に満たないことが裏付けられ、偽装表示の疑いが強まった。

 丸明による偽装表示をめぐっては、従業員などの証言でほかにも、吉田社長の指示で牛肉の加工日を改竄(かいざん)したり、消費期限が切れた古い牛肉を新しい肉に混ぜて出荷していたことなどが相次ぎ判明。県警が一部の従業員から事情を聴くなど裏付け捜査を進めている。

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【用語解説】飛騨牛

 岐阜県のブランド牛。同県内で14カ月以上肥育された黒毛和牛で、日本食肉格付協会の枝肉格付けで最上級の5〜3等級に認定された牛肉に、飛騨牛銘柄推進協議会が証明書を発行する。昭和56年に県が種牛を購入、ブランド化した。肉質の良さで知られる。

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