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2008年07月07日(月) 20時44分

洞爺湖サミット開幕 街角の風景に見る「おもてなし意識」オーマイニュース

 洞爺湖サミット開幕を控え、都市部を中心にテロへの警戒態勢が強化されている。

 街頭に立つ警察官の数が増えたなぁと感じる人も多いだろう。また、消防隊員や自衛隊員などの訓練の様子も連日ニュースで取り上げられ、「磐石の態勢」がアピールされている。

 そんな中、鉄道各社もテロ警戒に取り組んでいる。東京でも多くの鉄道で駅のごみ箱が撤去もしくは封鎖されているが、このような光景を目にした人も多いのではないか(=写真)。

 中身が溢れているわけでも、投入口が詰まっているわけでもない。テロ対策で一時的に蓋をしてあるのだが、その上に、こうしてビン・カン・ペットボトルが積まれているのだ。中にはファストフード店で購入したと思しき飲み物の紙容器もある。それにしても、よくまぁこれだけ捨てていく人がいるものだ。

 「群集心理」という言葉がある。辞書によると「判断力が低下し、衝動的・無責任的な言動をとる傾向になる」ということだが、まさにこのケースがそれに当てはまると言えよう。

 他の駅でも見かけるが、ごみ箱本体をどこかに移動しない限り、多くの人はそこにごみを置いていって良いという判断を下すらしい。美観を損ねるとか誰が片付けるのかといった所にまでは想像力が及ばないようだ。

 洞爺湖サミットを主催し、地球温暖化など環境問題を訴えようとしている国の民の実情がこの写真1枚から読み取れる。そこには、「美観」「配慮」といった慎ましやかさはない。

 そして、カン・ペットボトル用のごみ箱であるにもかかわらず、ビニール袋や紙コップがそこに混ぜられているということも看過しがたい。

 中国では北京オリンピックに備えてバスの整列乗車などを徹底し、公共マナーを向上しようと当局が取り組んでいる、ということが以前報じられた。

 その際われわれ日本人は中国の民度の低さを嘲笑したものだが、しかしこうした実情を見るにつけ、笑えなくなってくる。

 サミットを主催し、海外から多数の来賓を招くということを考えた時に、何が重要か。テロ対策ももちろん重要だが、こうした街角の光景一つから『おもてなしの美学』を国民一人ひとりがもう一度考えなければならないのではないか。

 連日、海外での日本人の落書きが報道されるが、まずは国の内側に目を向け、何気なくしている「群集心理」を問い直さなければならない。

(記者:鈴木 亮介)

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