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2008年07月07日(月) 13時17分

毎日「変態報道」に、編集・校正プロセスはあったのか?オーマイニュース

 毎日新聞が「変態」で揺れている。

 頻繁にネットを使う人ならばもうご存じだろうが、毎日新聞は英語版・サイト「MAINICHI Daily News」内のコラムで、9年にわたってゴシップ誌などから集めた低俗な記事を、日本で一般的に浸透している文化と思われかねないスタイルで掲載していたのだ。これに対して抗議が殺到、先週7月初には、毎日新聞本社前で、抗議デモまで行われた。

 問題の記事の翻訳文を読むと、一般向けの新聞紙が掲載したとは思えない内容。スポーツ新聞の風俗コーナーでもちょっとありえないような内容だった。

 では、この記事の発信元がスポーツ新聞の風俗コーナーならよかったのだろうか? また、インターネット上ではもっと過激な事実無根の話が、さも現実であるかのように飛び交っているが、それは問題にならないのか?

 それは問題ではない、と思う。

 問題は、このような記事が「MAINICHI Daily News」から発信されたということだ。

 「MAINICHI Daily News」となると、読む側は信用してしまうのだ。読者は、当然「校正」が行われ、「MAINICHI Daily News」にふさわしい内容だと検討された結果、掲載されている文章だと思うからだ。

■欲しいのは「早くて正しい情報」

 インターネットの登場で、誰もが手軽に情報を発信できるようになった。その結果、既存の新聞などのメディアのニーズが弱まったことは確かな気がする。しかし、インターネット上の記事でも、強い記事と弱い記事がある。それは、それなりの「校正」を受けた文章か、否か。それに尽きる。

 匿名掲示板「2ちゃんねる」は、個人の意見が自由に発信される場だが、ニュース速報+などのスレッドは、一般の新聞記事などからの引用の形で立てられる。そしてその内容に対して議論が行われる。

 そして、たとえば、「この記事は朝日新聞の発表なので、こういう意図があるだろう」とか、「この記事のソースは左派勢力が強いところなので、実際よりは左寄りだろう」などという議論がなされる。

 やはり、ユーザーが求めているのは、「早くて、正しい情報」なのだろう。結局、インターネットがあろうとなかろうと、人々が欲しているものは今も昔も変わらないのではないか。

 そこで重要なのが、「編集・校正作業」だ。

 アナログな作業である上に、記者の思惑や意見が、編集・校正の段階で曲げられる場合はあると思う。しかし、まったくノーチェックの記事と、そうでない(と思わせる)記事では、信用の度合いが違う。正しい情報とは、信用できる情報だ。だからこそ、「編集・校正作業」は必要なのだ。

 ちなみにここ、オーマイニュースでは、一応、編集のチェックを通ってから記事が掲載される。だからこそ誰でも自由に記事を書ける掲示板と意味合いが違っているのだろう。

 「MAINICHI Daily News」に話を戻すが、問題になった記事は、どのようなプロセスを経て、掲載に至ったのだろうか?

 編集し、校正した上で流した記事なのだとしたら、毎日新聞社が、社の“作品”として歪曲(わいきょく)した日本像を世界に流したということになる。編集・校正を経ていないのだとすれば、「MAINICHI Daily News」の記事は、その辺の個人ブログと同じ程度の内容だということになるので「毎日新聞」と混同されないよう、看板を下ろすべきだと思う。

 この一件で、毎日新聞が失ったものは、「信用」である。

(記者:神田 もつら)

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