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2008年07月07日(月) 08時00分

【Re:社会部】“数分遅れ”の深刻さ産経新聞

 開業1カ月の東京メトロ副都心線で運行トラブルが絶えません。「最大30分遅れ」など、当初相次いだクラスのトラブルは少なくなりましたが、数分の遅れは“常態化”しているような印象です。

 沿線住民は毎朝、定時運行を祈る思いで駅に駆け込みます。「池袋から渋谷まで急行運転で11分」とうたった新線は、電車に乗るまで11分ぐらいホームで待たねばならないこともあります。

 「数分遅れ」に目くじらを立てるのはどうか、との意見もあるでしょうが、こちらも出社が1分遅れただけで上司に面罵される身です(上司にもよりますが)。

 作家の三戸祐子さんは著作「定刻発車」で、日本人が定刻にこだわる理由を「江戸の参勤交代や時の鐘と深く関わっている」と分析しています。鉄道事業ではさらに、大正期の優れた作業マニュアルや、鉄道事業者の危機回避の運行システムなどが進化し、世界で最もダイヤの正確な鉄道を築いた、と解説しています。

 東京メトロで働く皆さんは、世界一正確な電車の運行に携わっている自負はありますか? もとより、危機管理の専門家の間では、事故に至らない軽微な事象(いわゆるヒヤリ・ハット)が積み重なると、放置すれば大事故につながるとの解説もあります。「鉄道員魂」ともいうべき矜持を取り戻し、安全で正確な運行に努めてもらいたいと思います。(文)

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