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2008年07月07日(月) 23時12分

「食品偽装、消費者庁が司令塔に」 岸田担当相に聞く 産経新聞

 来年度に設置される見通しの「消費者庁」の制度設計にかかわった岸田文雄消費者行政推進担当相が産経新聞の取材に応じ、中国製ウナギなどの食品偽装に対し、農水省の検査を受け、今後は消費者庁が司令塔として偽装根絶に向けて対応する考えを示した。消費者相談の窓口充実のカギを握る地方の消費生活センターについては、来年度から国による直接的な財政支援を行う考えを明らかにした。(酒井充)

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■一元的に対応

 各省庁に分散している消費者行政を消費者庁が一元的に執行するのだから、法律の隙間(すきま)に陥っていた事案に対応する新法とあわせ、これまで問題視された課題に対応する。

 飛騨牛や中国製ウナギなどの食品偽装が相次いでいる。来年度以降は食品表示部分の行政は農水省から消費者庁に移管するので、当然しっかりとかかわっていく。

 検査などは農水省の協力が必要で、農水相に委任するが、消費者庁は検査による情報を元に司令塔として対応し、消費者の声がしっかりと反映される対応を実現する。

■首相の思い強く

 福田康夫首相は消費者問題に大変強い思いがある。行政を消費者、生活者が主役とするものに変えると強調し、具体的に行政のあり方の見直しを指示した。

 作業に携わり、消費者問題が幅広い分野にかかわっていることを痛感した。首相の思いと法律や組織の実態とを調和させるのに苦労した。閣僚折衝では「消費者行政部門と産業政策部門を切り離すと連携が弱まる」「実効性を本当に確保できるか」といった指摘を受けた。

 しかし、首相の最終的な判断は「霞が関の論理」という理屈ではなく、国民の視点が基準になった。首相からは「想像以上の成果だ」という言葉もあった。新組織への人員や組織の移し替えなど大きな課題が残っており、来年に向けてまだまだ道のりは長い。

■看板だけではダメ

 地方の消費者行政は予算も人員も大変弱体化している。国民が相談しやすい窓口が地方にあり、情報が一元的に集約される全国的ネットワークが構築されなければいけない。それと中央で強い権限と専門能力を持った消費者庁がそろってこそ、結果につながる。立派な看板だけではダメだ。

 だから、国としても基盤作りのために地方に直接的な財政支援を考えなければならない。単なる地方交付税では、何に使われるか分からない。消費者行政につながる措置を考え、民間も消費者行政を応援できる税制上の優遇措置なども考える。来年度予算の議論の中で検討していきたい。

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