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2008年07月06日(日) 21時59分

ヘリ不明 突然の情報に関係者戸惑い 無事祈る毎日新聞

 取材ヘリコプターが濃霧に姿を消し、ごう音を最後に行方が分からなくなった。青森県大間町の大間崎沖で6日、青森朝日放送(ABA、青森市)がチャーターしたヘリが遭難した事故。青森海上保安部や県警などが陸と空から捜索したが、立ちこめる霧に阻まれ機体は発見できず、乗っていた4人の安否は不明のままだ。関係者は突然の事故情報に戸惑い、消えない霧にいら立ちながら、無事を祈って捜索活動を見守った。

 ◇ABA本社で相次ぎ緊急会見

 消息不明の情報を受け、運航会社「小川航空」(大阪市)の小川正勝社長(55)と、ABAの小林伸雄総務局長(56)らは6日、青森市のABA本社で相次いで緊急会見を開いた。

 小林局長らによると、同日午後0時40分ごろ、青森県警大間署の要請を受けた国土交通省が、小川航空に「ヘリと連絡をとってほしい」と依頼。連絡を試みたが通じず、「定時連絡がとれない」と、ヘリの運用でテレビ朝日系列3社の幹事社を務める秋田朝日放送を通じてABAに連絡があった。同1時過ぎには、小川航空からABAに「国交省が飛行を確認した」と連絡があったが、後に誤報と判明した。小川社長は「フライトプランに基づいて『ヘリはフライト中』と判断した。それが誤報につながった」と説明した。

 ABAの木村慎吾アナウンサー(28)は04年11月入社。アナウンサーだけでなく報道記者もこなし、「青森ラーメン大百科」などの人気コーナーを担当していた。ABAは「深い霧の中でのフライトは航空会社が判断する。今は4人と連絡を取ることに全力をあげている」と話した。【矢澤秀範】

 ◇「過去に飛行中のトラブルない」小川航空

 「墜落したのはほぼ確実だろう。申し訳ない」。小川航空の小川社長は6日夜、ABAで会見し陳謝し、「原因などが判明してくると思うので、対処していきたい」と話した。

 小川航空によると、同社には8人の操縦士がおり、秋田支店には3人が配属されている。行方が分からなくなっている高下工三夫機長(57)は操縦歴約30年のベテランで最年長。仕事熱心で部下の教育などにも力を注ぎ、操縦士の取りまとめ役的存在という。菊池浩光副機長(43)は機長資格を持つベテラン操縦士。今回のフライトには副機長として乗り込んだ。

 小川社長は「離陸前の気象条件については何も聞いていないので分からない。過去に飛行中のトラブルはなかった」と強調した。

 一方、大阪市の小川航空本社では、枡田英樹・飛行課長(45)が「これだけ時間がたっているので、何もなかったことはないだろう。非常に心配している。無事でいてほしい」と話した。【山本佳孝、田中龍士】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080706-00000017-maip-soci