記事登録
2008年07月05日(土) 10時01分

どうにかならんか?東京テロ厳戒警備の異常日刊ゲンダイ

●総予算422億円
 この物々しさは、何なのか。洞爺湖サミット本番まであと5日。都心の街頭は、機動隊員であふれている。
 警視庁はサミット妨害やテロ封じのため、管内各署から警官1万人超を招集。約2万1000人態勢で職務質問や車両検問を行っているが、主要道路どころか、小さな路地でも検問して渋滞を引き起こしている。
 ピリピリムードは、駅構内にも波及。東京駅などターミナル駅では、機動隊員がウロウロ。爆発物をかぎ分ける警備犬までチョロチョロし、ゴミ箱は「爆発物を仕掛けられる恐れがある」(警備関係者)と、すべて撤去された。サミット本番中は、コインロッカーの使用を禁じ、新幹線にはテロ警戒のため、制服警官が乗り込む。
 あまりの厳戒態勢に、「本当は、アルカイダのメンバーが日本に極秘入国している」との怪情報まで流れるほど。過剰な警戒心は、まったく無関係な物まで“不審物”にしてしまうらしい。
「国交省の要請を受け、東急電鉄は6月中旬から各駅売店の周囲に、新聞や雑誌の梱包を放置しないよう通達しました。理由は“梱包が不審物と疑われる恐れがある”というもの。そのため、返品分の梱包を減らそうと、新聞・雑誌の納入数を減らす傾向にあります」(東急電鉄関係者)
 幽霊の正体みたり枯れ尾花——そんな句が浮かぶ話だが、そもそもサミット会場選定の際、当時の安倍内閣が重視したのは「警備のしやすさ」。洞爺湖は、テロの標的になりにくいと自信マンマンだったはずだ。なのに、北海道から遠く離れた東京の東急線までテロを警戒させるとは、度を越えてやしないか。
 国交省は「05年7月の英グレンイーグルズサミットの開催中、首都ロンドンの地下鉄で連続爆破テロが発生しました。リゾート地でサミットを開いても、首都圏の交通網がテロの標的となる恐れはある。十分な警戒が必要です」(鉄道局)と回答。警察庁からも同様の答えが返ってきた。
 この2年間(07〜08年度)でサミット警戒・警備を含めた「テロ対策費」に使われる税金は422億円。テロが未然に防げればそれに越したことはないが……。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080705-00000008-gen-ent