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2008年07月05日(土) 02時31分

<エビ養殖詐欺>投資家の視察を拒否「現地の治安悪い」毎日新聞

 フィリピンでのエビ養殖事業に絡む出資金詐取事件で、逮捕された「ワールドオーシャンファーム」(東京都品川区)会長、黒岩勇容疑者(59)ら同社幹部が、フィリピンの養殖場視察を願い出た投資家に対し、「現地は治安が悪い」などと拒絶していたことが分かった。宣伝していた養殖場にエビはほとんどおらず、ため池だったことが判明している。警視庁などの合同捜査本部は、黒岩容疑者らが不正発覚を隠ぺいするためだったとみて調べている。

 調べでは、黒岩容疑者らは「養殖事業に投資すれば約1年で出資額が2倍になる」と募集。05年2月〜07年7月にかけ、約3万5000人から約849億円を不正に集めたとされる。その際、フィリピン・ルセナ市の養殖場は東京ドーム450個分の規模だと説明していたが、実際は数十分の1の約65ヘクタールで、養殖の実態もなかったことが分かっている。

 黒岩容疑者らワ社幹部がほぼ毎月開催していた投資家向けの講習会に06年に参加した男性によれば、養殖場を見に行きたいと要求した出席者に対し、幹部らは即座に「治安が悪いから現地には連れていけない」と拒否。さらに「警備員が自動小銃を持って養殖場を警護している」などと話したという。

 また、神奈川県内に住む70代女性も幹部から「フィリピンは危ない国で行ったら命はない」と説明を受けたという。

 一方で、ワ社は出資金を集め始めて間もない05年11月に、投資額が多い会員だけを現地に招待。養殖場をボートで案内し、おそろいの青色ポロシャツを来た現地法人スタッフに引き合わせたり、高層ビルの一室の現地事務所を訪ねさせたりしていた。そのときの様子は写真に撮影し、勧誘の際に見せていた。

 それ以降、現地視察ツアーは行われていないとされ、捜査本部は出資者を信用させるためのパフォーマンスだったとみている。【町田徳丈、武内亮】

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